この記事では、映画『アビス(1989)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。
映画『アビス(1989)』の結末・ラスト(ネタバレ)
映画『アビス(1989)』のラストでは、主人公バッド(ヴァージル・“バッド”・ブリッグマン)が海底に住む未知の生命体(NTI)と接触し、人類の未来に影響を与える重要な瞬間を迎えます。
物語の終盤、バッドは核兵器を無力化するため、深海へと単独で潜ります。彼は特殊な液体呼吸装置を使い、深海の極限環境で爆弾を解除することに成功します。しかし、その後酸素が尽きてしまい、もはや助かる望みがない状況になります。
その時、NTIが現れ、バッドを救出します。彼らは高度な技術を持ち、人類を遠くから観察していたことが明らかになります。完全版では、NTIが地球の核戦争の脅威を監視しており、人類が自らを滅ぼす可能性があると警告していたことが描かれています。しかし、バッドの勇敢な行動を見たNTIは、人類にも希望があると判断し、彼を生かす決断をします。
最後に、NTIはバッドを海底基地の仲間たちの元へと送り届けます。彼らのテクノロジーによって巨大な海底都市が浮上し、深海に閉じ込められていた人々は無事に地上へ帰還します。映画は、未知の生命体との接触が人類に新たな可能性をもたらすことを示唆しながら幕を閉じます。
映画『アビス(1989)』の考察・解説(ネタバレ)
映画『アビス(1989)』と完全版の違いは何か?
『アビス』の公開版と完全版(ディレクターズ・カット)にはいくつかの違いがありますが、最も大きな違いは映画の結末部分です。
公開版では、主人公バッド(ヴァージル・“バッド”・ブリッグマン)が海底に住む未知の生命体(NTI)と接触し、彼らによって水上に戻されるシーンが描かれます。しかし、NTIの目的や行動の理由については明確に説明されません。
完全版では、このラストシーンが大きく異なります。バッドとNTIのやり取りがより詳しく描かれ、NTIが地球の核戦争の危機を監視しており、人類が暴力的な行動を続けるならば大規模な津波を発生させ、地球を浄化するつもりだったことが明かされます。しかし、バッドの自己犠牲的な行動に感銘を受けたNTIは津波を止め、人類に希望を与える選択をします。
この追加シーンにより、映画のテーマが「未知との遭遇」だけでなく、「人類の未来と選択」にまで広がり、より深いメッセージ性を持つ作品となっています。
映画『アビス(1989)』にネズミが液体に沈められるシーンがあるのは本当?
映画『アビス』には、ネズミが液体に沈められるシーンが実際に存在します。このシーンでは、特殊な液体が入った容器にネズミが入れられ、ゆっくりと沈んでいく様子が映し出されます。
この液体は、実際に存在する「液体呼吸技術」に基づいたものです。液体には酸素が含まれており、肺の中が液体で満たされても呼吸が可能となる仕組みです。撮影時に使用された液体は、本当にネズミが呼吸できるものだったため、沈められたネズミはすべて生き残っていました。
このシーンは、バッドが深海へ潜る際に「液体呼吸」の実験が実際に行われたことを示すためのものです。視覚的には衝撃的な場面ですが、実際にはネズミが無事だったことが確認されており、動物虐待ではないことが後に明らかにされています。
映画『アビス(1989)』に出てくる宇宙人はどのような存在なのか?
映画『アビス』に登場する未知の生命体(NTI:Non-Terrestrial Intelligence)は、海底に住んでいる高度な技術を持つ存在です。しかし、その正体や起源についてはほとんど説明されません。
NTIは、水の形を自在に変える技術を持ち、バッドたち人間とコミュニケーションを試みます。また、彼らは地球規模の災害を引き起こすことも可能であり、完全版では核戦争を監視し、人類に警告を与えるために大津波を発生させる能力があることが明かされます。
しかし、彼らがどこから来たのか、どのような文明を持っているのかは語られていません。映画の中では「宇宙から来た存在なのか、それとも地球上にずっと存在していたのか」について明確な答えが示されることはなく、観客の想像に委ねられています。彼らの目的は不明な部分が多いものの、最終的には人類に希望を与える存在として描かれています。
映画『アビス(1989)』に出てくる液体呼吸とは何か?
映画『アビス』に登場する液体呼吸とは、特殊な液体を肺に満たし、液体中の酸素を直接吸収することで呼吸を可能にする技術です。この技術は、実際の科学研究にも基づいており、過酸と炭化水素の化合物を使用した「液体換気技術」として知られています。
劇中では、主人公バッドが深海の極限環境に適応するために液体呼吸を使用します。通常の酸素タンクでは水圧に耐えられない深度に到達する際、気体の酸素ではなく液体に溶け込んだ酸素を利用することで、肺の内部での圧力差を軽減し、圧壊を防ぐ仕組みです。
また、映画内でネズミが液体呼吸を実験されるシーンがありますが、これは実際に存在する実験の再現であり、実際にネズミは生存しています。この技術は現実世界でも研究されており、理論的には人間にも適用可能とされていますが、長時間の使用や実用化にはまだ課題があるとされています。
映画『アビス』では、この液体呼吸の概念を映像化することで、深海探索の過酷さと未知の技術の可能性を強調しており、SF的な要素として重要な役割を果たしています。
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