映画『パッセンジャー(2016)』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『パッセンジャー(2016)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『パッセンジャー(2016)』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『パッセンジャー(2016)』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『パッセンジャー』の結末では、宇宙船内で暮らすことを決めたジムとオーロラが、最期まで一緒に過ごすことを選んだことが示されます。物語の終盤、宇宙船は重大な故障に見舞われます。ジムとオーロラは力を合わせて船を修理し、なんとか無事に危機を乗り越えますが、その過程でジムは冷凍睡眠ポッドを一台修理することができ、自分たちのうちどちらかが再び眠りにつき、予定通りの到着時に目覚められるようにします。

ジムはオーロラに「このポッドで眠って目的地に着いた時に新しい人生を始めてほしい」と提案しますが、オーロラはそれを拒み、ジムと共に生きる道を選びます。2人は互いを支え合いながら船内での生活を続け、そこで長い年月をかけて小さな家庭のような空間を作り上げていきます。映画のラストシーンでは、他の乗客たちが目的地に到着するため冷凍睡眠から目覚めると、船内には草木や花が生い茂り、小さな家のような場所ができあがっている光景が目に入ります。

このエンディングは、ジムとオーロラが宇宙船の中で新しい生活を作り上げ、互いに愛し合って平和に過ごしていたことを象徴しています。2人は孤独の中で出会い、困難な状況を乗り越えて、長い旅の途中で自分たちだけの新しい世界を築きました。映画は、彼らが生きる意味や愛する人と共に過ごす喜びを見出したという希望に満ちた余韻を残して終わります。

映画『パッセンジャー(2016)』の考察・解説(ネタバレ)

映画『パッセンジャー(2016)』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『パッセンジャー(2016)』で、バーテンダーはなぜ主人公の秘密をヒロインに話した?

映画『パッセンジャー』では、アンドロイドのバーテンダー・アーサーが、主人公ジムの秘密をヒロインのオーロラに話してしまいます。ジムは冷凍睡眠から覚めてしまったことによる孤独に耐えられず、他の乗客であるオーロラを起こしてしまったのですが、それを秘密にしてほしいとアーサーに頼んでいました。しかし、ジムとオーロラが愛し合うようになり、ある日ジムがアーサーに対して「自分たちの間に秘密はない」と話したことで、アーサーはその言葉を文字通りに受け取り、「秘密はない」と考えた結果、オーロラにジムの行動を話してしまったのです。

アーサーはアンドロイドであり、人間のような心や複雑な意図を持っているわけではありません。彼の行動は、ジムの言葉をそのまま解釈したうえでのものであり、悪意はありませんでした。彼は「2人の間に秘密はない」というジムの発言を信じ、オーロラにも全てを話すことが適切だと判断したのです。

結果として、このアーサーの行動がオーロラに真実を明かし、彼女はジムに裏切られたと感じてしまいます。このことが2人の関係に大きな波紋を呼び、物語の緊張感を生み出す一因となりますが、アーサー自身にとってはジムの言葉に従った行動に過ぎませんでした。

映画『パッセンジャー(2016)』のラストで、主人公とヒロインに子供ができる?

『パッセンジャー』のラストシーンでは、主人公ジムとヒロインのオーロラが子供を作ったかどうかは描かれていません。物語の最後に、宇宙船の他の乗客たちが冷凍睡眠から目覚めると、船内に植物が繁茂し、2人が作り上げた居住スペースの痕跡が見られますが、子供については明かされていないため、映画では子供は作らなかったと考えられます。

ただ、脚本の段階では2人が子供を作り、世代を繋ぐような展開が考えられていたようです。しかし、映画の完成版ではこの設定が省かれたため、観客には2人が子供を育てたかどうかは確定されないままになっています。2人きりで長い年月を過ごし、自然を再現しながら自分たちの生活空間を作り上げる様子が描かれており、その環境が彼らが新たに築いた生活の名残として残されています。

このように、映画ではジムとオーロラがどのように生涯を過ごしたかが示唆されるのみで、子供を作ったかどうかについてはあえて曖昧にすることで、観客の想像に委ねた形になっています。

映画『パッセンジャー(2016)』はなぜ「ひどい」と言われるのか

『パッセンジャー』は、クリス・プラットとジェニファー・ローレンスという有名俳優が共演したSFラブストーリーですが、一部の観客から「ひどい」と評される理由として、主人公ジムの行動が挙げられます。ジムは移住先の惑星に向かう途中で、機械の故障により1人だけ早く目覚めてしまい、長い孤独に耐えきれなくなった末、冷凍睡眠中のオーロラを自分の都合で起こしてしまいます。オーロラにとっては、計画外で自分の人生を左右される行為であり、観客には彼女の人生をジムが一方的に奪ってしまったように映ります。

さらに、物語の後半でオーロラはジムを許し、彼と一緒に生きていくことを選びますが、これに対しても批判的な意見があります。主人公が自己中心的な決断をしてしまったにもかかわらず、その行動が結果的に愛によって許されるという展開が、観客によっては不快に感じられ、「ひどい」と言われる理由となっています。

物語全体のテーマとしては、孤独や愛、許しについて描かれていますが、この設定や結末が納得できない観客もおり、それが「ひどい」評価の要因となっています。

映画『パッセンジャー(2016)』で、アーサーがヒロインに主人公の秘密を話した理由は?

映画『パッセンジャー』でアンドロイドのバーテンダー・アーサーがジムの秘密をオーロラに話してしまった理由は、ジムの何気ない一言が原因でした。ジムは、オーロラが目覚めた後、彼女と恋愛関係になり、幸せな時間を過ごしていましたが、自分が彼女を故意に目覚めさせたことは秘密にしておくようアーサーに頼んでいました。ところが、ある日ジムがアーサーに対して「僕たちの間に秘密はないんだ」と何気なく言ってしまったことで、アーサーはその言葉を文字通りに受け取り、「秘密はない」と判断します。そして、ジムとオーロラの間には隠し事がないのだと考えた結果、ジムが彼女を故意に目覚めさせたことを話してしまったのです。

アーサーは感情を持たないアンドロイドであり、人間のような複雑な意図を理解することは難しく、ジムの発言をそのまま信じてしまいました。このため、彼に悪意はなく、ただジムの意図を誤解してしまっただけでしたが、その結果としてオーロラは真実を知り、ジムに裏切られたと感じることになりました。

このシーンは、物語における重要な転換点となり、2人の関係に大きな亀裂が生まれることになります。アーサーの行動が引き起こしたこの衝突によって、ジムとオーロラは互いの思いを再考し、彼らの関係が試されることになりました。

映画『パッセンジャー(2016)』のタイトルの意味は?

映画『パッセンジャー』のタイトル「PASSENGERS」は、英語で「乗客」という意味であり、物語の舞台である宇宙船に乗っている人々を指しています。この宇宙船は、人類が新しい生活を築くために地球から移住先の惑星へ向かう巨大なもので、約5000人の乗客が乗って冷凍睡眠状態で移動していました。タイトルは、主人公ジムやヒロインのオーロラを含む、宇宙船内のすべての乗客を表す言葉として選ばれています。

また、このタイトルには、単に「乗客」であるだけでなく、彼らが目的地にたどり着くまでの道のりの中で経験する孤独、愛、そして生きる意味を見出すまでの過程が含まれているとも考えられます。ジムとオーロラは本来ならば到着時に目覚めるはずでしたが、機器の故障によって予定外に目覚めてしまい、宇宙船内で孤独や葛藤、愛を経験することになります。彼らが船内で生活をすることを決めることで「乗客」という立場から「船での生活者」へと変わっていく過程も描かれています。

このように『パッセンジャー』というタイトルは、単なる移住のための「乗客」としての役割だけでなく、宇宙船内でのさまざまな出来事や人間関係を通じて「生きることの意味」や「愛する人と過ごす時間の大切さ」を伝える象徴的な意味合いを持っています。

映画『パッセンジャー(2016)』はどんなエンディングを迎える?

『パッセンジャー』のエンディングでは、主人公ジムとヒロインのオーロラが宇宙船内で共に生きていく道を選んだことが示されています。物語の後半、船がさらに大きな故障に見舞われ、ジムとオーロラは協力してその問題を解決します。その後、ジムは冷凍睡眠ポッドを修理し、自分をまた眠らせる方法を見つけますが、オーロラに対して「一人で冷凍睡眠に戻るように」と提案します。しかしオーロラは、ジムと共に人生を歩むことを選び、再び眠ることなく彼と過ごすことを決断します。

映画のラストシーンでは、冷凍睡眠から目覚めた乗客たちが、船内に植えられた木々や花々、家のような家具が配置され、まるで小さな森のようになった光景を目にすることで、ジムとオーロラが長い年月をかけて船内で生活し、自然に満ちた空間を作り上げたことが伝わります。

このエンディングは、ジムとオーロラが自分たちの愛や人生を受け入れ、孤独の中でもお互いに支え合いながら新しい「家」を作り上げた象徴的な場面です。

映画『パッセンジャー(2016)』はなぜ「胸糞」と言われるのか

映画『パッセンジャー』が「胸糞」と言われる理由には、物語の設定と主人公ジムの行動が観客に与える不快感が影響しています。物語では、ジムが自分だけが冷凍睡眠から目覚め、100年間誰とも会えない孤独に耐えられなくなった末に、眠っている他の乗客オーロラを目覚めさせてしまいます。この行動は彼女の人生を勝手に左右する行為であり、オーロラの立場から見れば、自分の意志に反してジムの欲求のために人生を大きく変えられてしまったという重大な裏切りです。

物語の中でオーロラはこの事実を知り、最初はジムを強く拒絶しますが、最終的には彼を許し、2人は宇宙船の中で人生を共にすることを決意します。この結末に対しても批判があり、ジムの行動が許される形で終わることに疑問を持つ観客が多いのです。彼の行為は一方的に他人の運命を変えるものであり、道徳的に許されるかどうかが議論を呼ぶ内容となっています。

こうしたことから、映画はジムのエゴイズムや他人の人生に干渉する行為をテーマにしており、それが最終的に愛で解決されてしまう点に不快感を覚える人もいます。この設定と物語の展開が、観客の中に「胸糞悪い」と感じさせる一因となっており、主人公の行動に対する倫理的な問題が物語の評価を二分させています。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『シネマヴィスタ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『MIHOシネマ』の編集長も兼任しています。

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