映画『トレーニング デイ』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『トレーニング デイ』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『トレーニング デイ』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『トレーニング デイ』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『トレーニング デイ』のラストは、正義と悪が対峙し、因果応報の結末が描かれます。主人公ジェイク(キャスト名:イーサン・ホーク)は、腐敗した刑事アロンゾ(キャスト名:デンゼル・ワシントン)と過酷な一日を過ごします。アロンゾは麻薬取引や殺人を平然と行い、ジェイクにその行為を目撃させながら、彼を汚職の道に引き込もうとします。しかし、ジェイクはそれに屈せず、自分の正義を守り通します。

クライマックスでは、アロンゾがロシアンマフィアに追われている理由が明らかになります。彼はラスベガスでマフィアの大物を殺害し、その報復として命を狙われていました。アロンゾはその危機を回避するために資金を集めようとしますが、ジェイクに阻止されます。最終的にアロンゾは街のギャングからも見放され、孤立してしまいます。

ラストシーンでは、アロンゾが逃げようとするも、ロシアンマフィアによって車ごと銃撃され命を落とします。一方、ジェイクはアロンゾの悪事を暴露し、腐敗した警察社会に一矢報いることに成功します。この結末は、アロンゾが犯した罪が最終的に自分に返ってくるという因果応報を象徴しています。ジェイクは自分の正義を貫き、腐敗と戦う姿勢を示しましたが、その道のりは非常に困難で、現実の厳しさを強調しています。

映画『トレーニング デイ』の考察・解説(ネタバレ)

映画『トレーニング デイ』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『トレーニング デイ』に出てくるカタツムリの話の意味とは?

映画『トレーニング デイ』でロジャー(キャスト名:スコット・グレン)がアロンゾ(キャスト名:デンゼル・ワシントン)に語るカタツムリの話は、物語のテーマを象徴的に表現しています。この話では、玄関で見つけたカタツムリを男が裏庭に投げ捨てるが、カタツムリは傷を負いながらも長い時間をかけて玄関に戻ってくる、という内容です。このエピソードは、アロンゾ自身の姿を投影していると解釈できます。正義感を持つ警官がその理念を失い、汚職や暴力に染まりながらも、表向きは「正義」の立場に戻ってくる姿を重ねています。

さらに、この話はジェイク(キャスト名:イーサン・ホーク)の葛藤にも通じます。彼は善良で正義感の強い新人警官ですが、アロンゾの影響を受けて、正義のためにどこまで妥協するべきか悩むことになります。カタツムリの話は、アロンゾの価値観がジェイクにどのように伝わるのか、そしてそれが彼自身の未来にどう影響するのかを暗示する象徴的なシーンとして機能しています。

映画『トレーニング デイ』のもう一つのエンディングのネタバレ

映画『トレーニング デイ』の本編では、ジェイク(キャスト名:イーサン・ホーク)がアロンゾ(キャスト名:デンゼル・ワシントン)を撃退し、アロンゾはロシアンマフィアに追われて殺されるという結末が描かれます。しかし、DVDにはもう一つのエンディングが収録されています。このエンディングでは、ジェイクがアロンゾを逮捕するという展開が描かれています。

このエンディングは、より道徳的で正義が勝利するというストーリーを描いており、本編とは異なる印象を与えます。本編の結末は因果応報というテーマを強調していますが、この代替エンディングはジェイクの正義感がそのまま貫かれ、アロンゾの悪行が法のもとで裁かれるという形を示しています。観客にとっては、アロンゾのようなカリスマ的な悪人の運命に対する異なる視点を提供するもので、物語の解釈に幅を持たせる役割を果たしています。

映画『トレーニング デイ』でなぜアロンゾはマフィアから命を狙われたのか?

映画『トレーニング デイ』でアロンゾがロシアンマフィアに命を狙われる理由は、彼がラスベガスでロシアンマフィアの大物を殺害したことにあります。この事件はアロンゾの衝動的な性格を示すものであり、同時に彼の行動がどれほど無謀であったかを強調しています。この殺人によって、アロンゾはマフィアから7桁の賠償金を要求され、期限内に支払わなければ命を奪うと脅迫されます。

アロンゾはこの状況を打開するために、ロジャー(キャスト名:スコット・グレン)の家を襲撃し、彼の隠し資産を奪う計画を立てます。しかし、その計画はジェイクを巻き込む形で進行し、最終的にアロンゾ自身の破滅を招く結果となります。アロンゾの運命は、彼の過去の行動の報いであり、物語全体を貫く因果応報のテーマを体現しています。

映画『トレーニング デイ』は実話をもとにした映画か?

映画『トレーニング デイ』は完全な実話ではありませんが、現実に起きた汚職事件を背景にしています。そのモデルとなったのは、1990年代にロサンゼルス市警(LAPD)の捜査部隊「CRASH(Community Resources Against Street Hoodlums)」で発覚したランパート・スキャンダルと呼ばれる汚職事件です。この事件では、一部の警官たちが暴力や麻薬取引、証拠の改ざん、さらには殺人にまで関与していたことが明らかになりました。

映画の主人公であるアロンゾ(キャスト名:デンゼル・ワシントン)は、正義感のある警官ではなく、力と恐怖で犯罪を取り締まる一方で、自らも犯罪に手を染める腐敗した警官として描かれています。このような人物像は、CRASHの一部警官たちの行動に影響を受けたものだと考えられます。

映画は、このような実際の汚職事件を題材にしつつも、フィクションとしてエンターテインメント性を高めています。そのため、物語は現実から着想を得ているものの、登場人物や出来事の多くは架空のものです。現実とフィクションを巧妙に組み合わせることで、観客にリアリティと衝撃を与える作品に仕上がっています。

映画『トレーニング デイ』のラストが意味するものとは?

映画『トレーニング デイ』のラストシーンは、アロンゾ(キャスト名:デンゼル・ワシントン)が因果応報の結果を迎える場面として描かれています。彼は自らの悪行により、周囲からの信頼を完全に失い、最終的にはロシアンマフィアによって殺されるという結末を迎えます。彼が築いてきた恐怖と支配の世界は、最終的に彼自身を追い詰めるものでした。

一方で、新人警官ジェイク(キャスト名:イーサン・ホーク)は、アロンゾの腐敗に染まらず、正義を貫こうとする姿勢を示します。ギャングたちがアロンゾに背を向け、ジェイクを支持する場面は、正義が悪に勝利する象徴的な瞬間でもあります。このラストは、腐敗した権力は必ず崩壊し、正義が報われるというメッセージを強調しています。

さらに、アロンゾが住民たちから非難され、孤立する様子は、彼が人々に恐怖で支配しようとした結果、自らの破滅を招いたことを表しています。このラストシーンは、物語全体を通じて描かれる「行動の結果が自身に返ってくる」というテーマを象徴的に締めくくっています。

映画『トレーニング デイ』はつまらない映画?

映画『トレーニング デイ』は、観客によって評価が分かれる作品です。一部の人々が「つまらない」と感じる理由の一つは、物語が最後までシリアスなトーンで進み、アロンゾ(キャスト名:デンゼル・ワシントン)が一貫して悪人として描かれる点にあります。ラストに大きなどんでん返しや希望のある展開を期待していた観客にとっては、アロンゾが因果応報で死ぬという結末が物足りなく感じられるかもしれません。

また、アロンゾの言動や腐敗した警察の描写があまりに現実的で重いため、見る側にとってストレスを感じる要素が多いことも要因です。コメディ要素や軽快なシーンがほとんどないため、シリアスな内容に疲れてしまう観客もいます。

一方で、アロンゾ役のデンゼル・ワシントンの迫真の演技や、リアリティのあるストーリー展開を評価する声も多く、アカデミー賞主演男優賞を受賞したことで、映画のクオリティが高いことは間違いありません。「つまらない」と感じるかどうかは、観客の好みによる部分が大きい作品です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事の編集者
影山みほ

当サイト『シネマヴィスタ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『MIHOシネマ』の編集長も兼任しています。

影山みほをフォローする
映画のネタバレ考察

みんなの考察・感想