この記事では、映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』の結末・ラスト(ネタバレ)
物語は、大金持ちの小説家ハーランが家で亡くなったところから始まります。彼の死は自殺に見えましたが、実は何者かが関わっているのではないかと疑いを持った探偵ブノワ・ブランが捜査を始めます。ハーランの家族は皆、お金を狙って彼とトラブルを抱えていたため、誰もが怪しいのです。
物語が進むにつれ、ハーランが死んだ夜に何が起こったのかが少しずつ明らかになります。彼はその夜、介護士のマルタに頼んで薬を飲ませてもらいますが、マルタはうっかり薬のラベルを取り違えてしまい、ハーランに多量のモルヒネ(強い痛み止め)を投与したと思い込みます。これに気付いたハーランは、自分がこのままでは死んでしまうと悟り、マルタが責任を問われないようにと、自らの手で首を切り、自殺したように見せかけます。これによってマルタは逮捕されずに済むと考えたのです。
ところが、物語の終盤で真実が判明します。実は、マルタが注射した薬は正しいもので、ハーランが死ぬ原因となった薬の投与ミスはなかったのです。薬のラベルをすり替えたのは、ハーランの孫であるランサムでした。彼はハーランの全財産がマルタに相続されることを知り、それを防ぐために、薬のラベルをすり替えてマルタがミスを犯したように仕組んだのです。こうしてハーランが死ねば、財産は再び家族に戻ると考えていたのです。しかし、マルタは無意識のうちに正しい薬を選び、ハーランを助けることができるはずでしたが、ハーランは自らの決断で命を絶ってしまったのです。
最終的に、ブノワ・ブランの鋭い推理でランサムの策略が暴かれます。ランサムは罪を認めざるを得なくなり、逮捕されます。そして、ハーランの全財産が本当にマルタに相続されることが決まり、彼女が屋敷の持ち主として最後に家族を見下ろすシーンで物語は幕を閉じます。
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』の考察・解説(ネタバレ)
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』はなぜ「つまらない」と言われるのか
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』が「つまらない」と感じる人がいる理由として、まず豪華なキャストに比べて物語がやや単調であったり、内容が薄く感じられることが挙げられます。この作品はミステリー仕立ての物語で、多くのキャラクターが登場し、それぞれに個性的な性格が描かれていますが、キャラクター一人ひとりに焦点が当たりきらず、豪華キャストの良さが完全に発揮されていないと感じる人もいます。また、探偵であるブノワ・ブランによる推理も、「登場人物の絆や過去がもっと詳しく描かれていれば、もっと深い作品になったのでは?」と感じる人もいるようです。
さらに、ミステリーであるにもかかわらず、序盤からある程度真相がわかる展開が取られているため、観客にとって驚きやどんでん返しが少なく、推理を楽しむ要素が足りないと感じられる部分もあります。一般的なミステリー映画では、最後の瞬間まで真実がわからない展開が多いですが、本作では真犯人がすぐに絞られてしまい、展開が予想できるため、スリルや緊張感が薄れてしまったという意見もあります。
また、コメディ的な要素が散りばめられているため、ミステリー作品としてのシリアスさがやや欠け、観客によってはこの軽さが物語を「薄く感じさせる」と捉えられているのかもしれません。
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』のナイブズ・アウトの意味は?
「ナイブズ・アウト(Knives Out)」というタイトルには、「複数のナイフが出た状態」、すなわち登場人物たちがお互いに疑いの目を向け、まるで互いにナイフを向け合っているような状況を表す意味が込められています。この映画の登場人物たちは、皆が豪邸を所有する資産家ハーラン・スロンビーの遺産やその財産を狙っており、家族でありながらもお互いに疑惑や嫉妬の感情を持っています。このような状況が、「ナイフを向け合っている」状態と例えられ、タイトルの意味に反映されているのです。
さらに、この「ナイブズ・アウト」という表現は、家族内の誰もがそれぞれの利益や思惑を持ち、遺産を巡って対立や争いが絶えない状態を象徴しています。映画のポスターでも、中心にナイフが向かっているデザインがあり、タイトルと内容の繋がりが視覚的に表現されています。
このように、タイトルの「ナイブズ・アウト」は、登場人物たちが互いを信用せず、自分の立場を守るために他人に対して常に警戒心を抱いている状況を指し、それがミステリー要素をさらに引き立てる効果を持っています。
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』は、エンドロール後におまけ映像があるか?
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』には、エンドロール後のおまけ映像はありません。映画本編の終わりで全ての物語が完結するように構成されており、エンドロールの後に追加のシーンが挿入されることはなく、観客が物語の余韻を楽しむ形で終了します。
エンドロール後のおまけ映像は、アクション映画やシリーズ作品に見られることが多く、次回作へのヒントやキャラクターのその後を描く場合がありますが、本作はシリーズ物として作られておらず、エンドロール後に何かが明かされることはありません。
また、探偵ブノワ・ブランを中心にした続編『グラス・オニオン』が後に制作されましたが、この続編を予告するようなヒントもエンドロールには含まれていないため、本作は一つの作品として完結した形で楽しめるようになっています。このため、エンドロールの途中で帰宅しても映画の内容を見逃すことはなく、観客は物語の余韻をそのまま持ち帰ることができる作品となっています。
映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』に出てくる矛盾点は?
『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』には、いくつかの矛盾点があり、それが観客に疑問を感じさせる部分でもあります。その一つが、マルタの「嘘をつけない体質」です。彼女は嘘をつこうとすると嘔吐してしまうという特異体質を持っており、これが事件の解決に向けて重要な役割を果たしますが、この設定には少し矛盾が見られます。映画の中でマルタは真実を言えないシーンがいくつかありますが、矛盾を見せずにうまくやり過ごす場面もあり、この体質がすべての場面で一貫しているわけではありません。
さらに、マルタが薬のラベルのすり替えに気付かなかったという点も、観客にとっては疑問に思われる部分です。彼女はプロとして多くの患者のケアをしてきた経験を持ち、投薬にも熟練しているはずですが、事件の重要な部分となる薬のすり替えには気づきません。この見逃しが物語の展開を左右する大きな要素となりますが、彼女の専門知識があれば、通常は異なる薬を見分けられるはずで、ここに疑問を抱く人もいるでしょう。
こうした矛盾点は、物語をミステリアスで予想外な展開に持っていくための要素とも言えますが、少し不自然さを感じさせる部分でもあり、これが視聴者の間で議論の的になることもあります。マルタの特異体質や薬のラベルのすり替えは、作品の重要な部分を構成していますが、観客にとっては若干の違和感を抱かせるポイントとも言えます。
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