映画『MOTHER マザー(2020)』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『MOTHER マザー(2020)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『MOTHER マザー(2020)』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『MOTHER マザー(2020)』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『MOTHER マザー(2020)』の結末は、息子の周平と母親の秋子の関係性が持つ悲劇性を際立たせるものでした。

物語の最後、周平は母親である秋子の命令に従い、祖父母を殺害してしまいます。彼は、秋子の言葉を信じ、祖父母を襲撃してお金を奪おうとしますが、結果として祖父母は命を落とし、彼自身も逮捕されます。警察の取り調べでは、周平は「全て自分がやった」と供述し、母親の関与を隠そうとします。この行動は、母親に対する異常なまでの愛情と支配関係を象徴しています。

一方で、秋子は警察の取り調べで、自分は事件に関与していないと主張します。その結果、秋子は執行猶予付きの判決を受け、周平だけが懲役12年の実刑判決を言い渡されます。周平は、自分を支配し続けた母親を庇い、すべての責任を背負い込む形となります。

ラストシーンでは、周平が「お母さんが好きだ」と語った言葉が保護司の亜矢(夏帆)を通して秋子に伝えられます。秋子はこの言葉を聞いた瞬間に笑みを浮かべますが、この笑顔は母親としての愛情ではなく、彼女がまだ息子を支配できると感じたことへの満足感を示しています。この結末は、秋子と周平の異常な共依存関係を最後まで描き切り、観客に強い衝撃と問題提起を与えるものとなっています。

この映画は、毒親とその影響を受けた子供の悲劇的な人生を描き、人間関係の複雑さと親の責任の重さを問いかける作品として、多くの観客に深い印象を残します。

映画『MOTHER マザー(2020)』の考察・解説(ネタバレ)

映画『MOTHER マザー(2020)』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『MOTHER マザー(2020)』で気まずいシーンはある?

映画『MOTHER マザー(2020)』には、直接的な性的描写や過度にグロテスクなシーンはありませんが、心理的に視聴者を不快にさせる場面が多く含まれています。例えば、秋子が息子の周平に対して異常に執着し、自分の欲求を満たすために彼を利用する描写は、観ていて非常に息苦しいものがあります。周平が秋子の命令に従い、犯罪に手を染めるシーンも、観客に大きな衝撃を与える部分です。

特に、秋子が周平を心理的に追い詰めるような場面は、親子の関係としては異常であり、多くの人にとって気まずさを感じる要因となっています。これらのシーンは、映画のテーマである「毒親と子供の共依存関係」を際立たせるために描かれており、そのリアルさゆえに観る者の心に重くのしかかるものとなっています。

映画『MOTHER マザー(2020)』で長澤まさみが演じた秋子はどんな母親かネタバレ

映画で長澤まさみが演じた秋子は、男にだらしなく自堕落な生活を送るシングルマザーとして描かれています。彼女はまともに働かず、恋人に頼ることで生活を維持し、息子の周平にもまともな教育や愛情を与えることはありません。むしろ、秋子は周平を自分の思い通りに操ろうとし、彼を利用することに何の躊躇もない人物です。

秋子は息子への執着心が異常に強く、彼を自立させるどころか、精神的にも支配しようとします。その結果、周平は母親からの愛情を求める一方で、彼女に振り回される日々を送ることになります。秋子の無責任な行動は物語が進むにつれてエスカレートし、最終的には周平を犯罪に巻き込むまでに至ります。

彼女のキャラクターは、母親としての愛情や責任感が欠如した存在として描かれ、その結果、周平がどれほど追い詰められていくかを観客に強く印象付けます。この演技で長澤まさみは、多くの視聴者からその演技力を高く評価される一方で、役柄への憎悪が強まるほどのインパクトを残しました。

映画『MOTHER マザー(2020)』の基になった実話事件とは?

映画『MOTHER マザー(2020)』は、2014年に埼玉県川口市で実際に起きた「川口祖父母殺害事件」を基にしています。この事件では、当時17歳の少年が、自分の母親からの指示を受けて祖父母を殺害し、現金を奪いました。少年は母親の強い支配下にあり、彼女の命令に逆らえない状況だったと言われています。

映画はこの事件をベースにしていますが、物語はフィクションとして再構成されています。実際の事件と映画の違いとして、映画では母親の秋子が刑務所に服役していない設定になっている点があります。また、実際の事件では少年には懲役15年の判決が下されましたが、映画では懲役12年となっています。

この事件を基にした物語は、親子の異常な共依存関係や毒親の影響力、そしてその結果として子供が引き起こしてしまう悲劇を鋭く描き出しています。実話を基にしているからこそのリアリティと重みが、この映画に強い衝撃を与える要因となっています。

映画『MOTHER マザー(2020)』は「やばい」と言われる理由のネタバレ

映画『MOTHER マザー(2020)』が「やばい」と評される理由は、主に物語のテーマと登場人物の行動にあります。毒親である秋子(キャスト名:長澤まさみ)が、息子・周平(キャスト名:奥平大兼)に対して異常な執着心を持ち、彼の人生を徹底的に支配する姿が描かれています。秋子はまともに働かず、恋人や他人に依存しながら、自己中心的に生きています。そして、自分の欲望を満たすために周平を利用し、最終的には彼を犯罪に巻き込みます。

物語の中で周平が祖父母を殺害するよう秋子に命令され、その命令を実行してしまう描写は非常にショッキングです。事件の結果、周平はすべての責任を背負わされ、懲役12年の判決を受けることになります。この一連の展開が、観客に大きな衝撃を与え、「やばい」と感じさせる要因です。

さらに、秋子が自分の行動を正当化し、周囲の人々を平然と利用する態度も、観る者に強い不快感を与えます。彼女の無責任さと周平への影響力の強さが物語全体を通して描かれており、観客に心理的な負担を感じさせる作品となっています。

映画『MOTHER マザー(2020)』で周平の最後のセリフの意味は?

映画のラストで、保護司の亜矢(キャスト名:夏帆)が母親の秋子に、周平が「お母さんが好きだ」と言っていたことを告げる場面があります。この周平の言葉は、彼の心の中にある複雑な感情を表しています。周平は秋子から虐待や支配を受け続けてきたにもかかわらず、母親としての愛情を渇望し続けていました。

このセリフは、周平が母親の愛を求める気持ちと、自分を支配した母親に対する依存心の表れでもあります。同時に、この言葉を聞いた秋子が満足そうに笑う場面は、彼女が自分の支配力を再確認するような印象を与え、観客に衝撃を与えるラストとなっています。

このセリフは、愛情と支配の境界が曖昧になった異常な親子関係を象徴しており、物語全体のテーマである「毒親と子供の共依存関係」を端的に表現しています。周平の言葉の裏には、母親に対する愛情だけでなく、その影響から逃れられない絶望感も含まれていると考えられます。

映画『MOTHER マザー(2020)』で周平が起こした事件とは?

映画の中で、周平が起こした事件は祖父母の殺害です。この事件は、周平が母親の秋子に「祖父母を殺して金を奪え」と命令されたことが原因で発生します。周平は、秋子に逆らえない状況の中で祖父母の家を訪れ、彼らを刺し殺してしまいます。この行為は周平にとって非常に重い罪となり、彼の人生を大きく変えるきっかけとなります。

事件後、周平と秋子はすぐに逮捕されますが、秋子は殺人について何も知らないと主張します。一方で、周平は秋子を庇い、自分ひとりで犯行に及んだと自供します。その結果、秋子には執行猶予付きの判決が下される一方で、周平には懲役12年の実刑判決が言い渡されます。この判決は、周平が秋子に支配され続けた結果、自分だけがすべての責任を背負う形となる理不尽さを象徴しています。

この事件は、周平の人生に取り返しのつかない悲劇をもたらすとともに、毒親による支配の恐ろしさを観客に強烈に印象付ける要素として描かれています。

映画『MOTHER マザー(2020)』で周平がかわいそうと言われる理由は?

映画『MOTHER マザー(2020)』で周平が「かわいそう」と言われるのは、母親の秋子からの虐待や支配を受け続け、彼自身が大きな犠牲を払わされるからです。秋子は母親としての愛情を息子に与えることはなく、周平を自分の欲求を満たす道具のように扱います。彼女の支配は心理的なものであり、周平は幼い頃から母親の命令に従わざるを得ない環境に置かれていました。

物語が進むにつれ、秋子の行動はさらにエスカレートし、周平を犯罪に巻き込むまでに至ります。彼は母親の命令で祖父母を殺害するという重大な罪を犯し、その責任をすべて背負わされて懲役刑を受けることになります。それでも周平は、母親に愛情を求める気持ちを完全には捨てられず、秋子を庇うような態度をとります。

このように、周平は母親によって人生を狂わされてしまったにもかかわらず、最後まで母親を求める姿が描かれています。彼が抱える葛藤や絶望感は、多くの観客に同情を呼び起こし、「かわいそうだ」と感じさせる要因となっています。

映画『MOTHER マザー(2020)』の実話と本作の違う点をネタバレ

映画『MOTHER マザー(2020)』は2014年に埼玉県川口市で発生した「川口祖父母殺害事件」を基にしていますが、実話とはいくつかの違いがあります。最も大きな違いは、秋子の刑罰の描写です。実際の事件では、母親にあたる女性は強盗罪および窃盗罪で懲役4年6ヶ月の実刑判決を受け、刑務所に服役しました。しかし、映画では秋子が刑務所に収監される描写はなく、執行猶予付きの判決を受けるにとどまります。

また、周平の懲役刑についても実話とは異なります。実際の事件では、犯行に及んだ少年には懲役15年の判決が下されていますが、映画では12年と設定されています。こうした改変は、映画が実話を基にしつつもフィクションとして再構成されたものであることを示しています。

映画は実話をもとにした衝撃的なストーリーでありながら、独自の解釈を加えることで毒親と子供の共依存というテーマをより鮮明に描き出しています。その結果、実話に忠実でありながらも映画としてのドラマ性を強調した内容となっています。

映画『MOTHER マザー(2020)』で秋子にむかつくという声が多い理由は?

映画『MOTHER マザー(2020)』で秋子にむかつくという声が多いのは、彼女の無責任で自己中心的な行動が、息子である周平に大きな影響を与える様子が描かれているからです。秋子は母親としての役割を果たすどころか、息子を心理的に支配し、自分の欲望を満たすために利用します。彼女の行動は終始一貫して利己的であり、周平が苦しむ姿にも無関心であることが強調されています。

また、秋子は男に依存しながら生計を立て、周囲の人々を平然と利用して生きています。彼女の行動が周平を犯罪へと追い込む直接的な要因となりながらも、その結果について責任を取ろうとしない姿勢が、多くの観客に強い不快感を与えます。さらには、自分の行動を反省するどころか、息子の犯罪を庇わせる態度も非難される大きな要因です。

長澤まさみの演技は、このような秋子の冷酷さや身勝手さを見事に表現しており、役に対するリアリティが高い分、観客に秋子への憤りを感じさせる結果となっています。そのため、秋子のキャラクターに対する嫌悪感は映画を観た人々の間で共通した感情となり、物語のテーマでもある「毒親」の恐ろしさを際立たせています。

映画『MOTHER マザー(2020)』で、長澤まさみ演じる秋子が最後に笑ったのはなぜ?

映画のラストシーンで、秋子が保護司の亜矢から「周平がお母さんが好きだと言っていた」と告げられた際に笑う場面は、彼女の異常な支配欲を象徴しています。この笑みは、母親としての愛情や後悔を表すものではなく、自分が周平に対して依然として支配力を持っていると感じたことへの満足感を示しています。

秋子は自分の欲望や利己的な考えを優先し、周平の人生を利用してきた人物です。その彼女が最後に見せる笑顔は、彼女が自らの行動を正当化し、周平を完全に支配していたことを再確認するような場面となっています。この瞬間、彼女が息子に対して持つ愛情は、一般的な親子の絆とは全く異なるものであることが明確に示されます。

この結末は、秋子の歪んだ親子関係を最後まで描き切ったものであり、観客に強烈な印象を与えると同時に、親の影響力の恐ろしさを浮き彫りにしています。この笑みが物語全体のテーマを象徴し、物語を締めくくる重要なシーンとなっています。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『シネマヴィスタ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『MIHOシネマ』の編集長も兼任しています。

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