映画『ダンケルク(2017)』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『ダンケルク(2017)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『ダンケルク(2017)』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『ダンケルク(2017)』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

主人公トラヴィス・ビックルは、ニューヨークでタクシードライバーとして働きながら、社会から孤立し、強い疎外感を抱いています。彼は不眠症に悩み、街の中で見かける犯罪や売春、汚職に嫌悪感を持つようになります。次第に、彼は「街を浄化する」使命感を持つようになり、自分なりの正義感に基づいて暴力的な行動を取る決意を固めます。

トラヴィスは12歳の少女アイリスが売春を強制されていることを知り、彼女を救い出そうとします。彼はアイリスを救うため、武器を手に入れ、彼女を支配する売春宿に乗り込みます。物語のクライマックスでは、トラヴィスは売春宿の経営者や関係者を次々と銃で撃ち倒し、アイリスを救出します。しかし、激しい銃撃戦の末にトラヴィス自身も重傷を負います。

この暴力的な行動にもかかわらず、トラヴィスは地元の新聞で「英雄」として報じられます。彼の行動は、社会から「少女を救った正義の行動」として評価され、アイリスの両親からも感謝されます。物語の最後、トラヴィスは一命を取り留め、再びタクシードライバーとして働き始めます。

しかし、映画のラストシーンでは、トラヴィスが車のミラーに映る自分を確認するシーンが描かれます。このシーンは、彼の内面的な不安や暴力性が完全に消え去っていないことを暗示しています。表面的には彼が英雄的に描かれていますが、彼の内面には依然として混乱と孤独感が残っており、再び暴力的な行動に走る可能性があることが示唆されています。

結末は、トラヴィスが一見「救済された」かのように見えますが、実際には彼の精神的な問題が解決されていないことを強調しています。
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映画『ダンケルク(2017)』の考察・解説(ネタバレ)

映画『ダンケルク(2017)』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『ダンケルク(2017)』で、最後の二等兵は誰?

映画『ダンケルク(2017)』で、最後に登場する二等兵は、トミーという名前の若い兵士です。彼は物語を通して、ダンケルクのビーチで生き残り、何とかしてドイツ軍の包囲から脱出しようとしています。彼は多くの兵士たちと共にダンケルクのビーチに取り残され、絶えず敵の攻撃を受けながら、命がけで帰還の機会を探しています。

トミーは、映画の冒頭から登場し、彼の視点を通して戦場の恐怖や混乱が描かれます。彼は他の兵士と同様に、何とかしてイギリスに帰還しようとするも、度重なる困難に直面します。特に、彼が民間船に乗り込んだシーンでは、船が沈没したり、銃撃を受けたりする中で彼の生存への強い意志が描かれています。

最後に、トミーは無事にイギリスに帰還し、電車で故郷に戻る場面があります。このシーンでは、彼が疲れ果てた表情を見せつつも、救出される喜びや安心感が感じられます。新聞を読む兵士の表情と共に、トミーは安堵と共に戦争の現実を受け入れつつあります。

このように、トミーは映画を通して視点の中心となるキャラクターであり、彼のサバイバルの物語が『ダンケルク』の終わりを締めくくります。
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映画『ダンケルク(2017)』はなぜ「つまらない」と言われるのか?

映画『ダンケルク(2017)』が一部の視聴者から「つまらない」と言われる理由はいくつかあります。まず、この映画は他の戦争映画とは異なり、キャラクターの個別の背景や感情にフォーカスを当てる場面が少なく、登場人物の詳細な説明がほとんどありません。視聴者に感情移入させるためのドラマティックな演出が少なく、物語の展開が非常にリアルかつシンプルに描かれています。

また、台詞が少なく、シーンの多くが沈黙や緊張感に包まれていることも、「退屈」と感じる要因の一つです。戦争の緊迫した雰囲気を視覚的・音響的に表現しているため、派手なアクションシーンや感情的なやりとりが少なく、ゆっくりとした展開が視聴者に物足りなさを感じさせることがあります。

さらに、映画の構造自体が通常の時系列に従っていないため、複数の異なる視点(陸、海、空)が異なる時間軸で交差する形で描かれます。この構成は一部の視聴者にとって分かりにくく、集中力を要するため、理解しづらいという意見もあります。

これらの要素が組み合わさり、『ダンケルク』は他の戦争映画と比べてドラマチックな感情表現やアクションの連続が少なく、「つまらない」と感じる人がいる一方で、そのリアリズムや緊張感を評価する人も多くいます。
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映画『ダンケルク(2017)』には気まずいシーンがある?

映画『ダンケルク(2017)』には、いくつかの「気まずい」と感じられるシーンがありますが、それは戦争の現実や極限状態に置かれた人々の行動に起因しています。これらのシーンは、戦争という極限の状況での人間の脆さや自己保身を描いており、視聴者に複雑な感情を抱かせます。

例えば、船に乗り込んだ兵士たちが沈むのを恐れて、一人の兵士を外に追い出そうとするシーンがあります。この場面では、兵士たちが生き延びようとする一方で、自分たちを守るために他人を犠牲にしようとする姿が描かれています。極限状態での恐怖と混乱が背景にあるとはいえ、視聴者はこのシーンを「気まずい」と感じるかもしれません。

また、沈む船から逃れるためにパニックになる兵士たちの様子や、救助の際に一部の兵士がパニックに陥る場面も、戦争の厳しさと恐怖をリアルに描いています。このようなシーンでは、人間の本能的な恐怖や自己防衛が前面に出ており、視聴者にとって見ているのがつらくなる瞬間もあります。

このように、『ダンケルク』は戦争の英雄的な行動だけでなく、自己保身やパニックに陥った人間のリアルな姿を描くことで、戦争の恐ろしさを強調しています。その結果、視聴者に「気まずい」と感じさせるシーンも存在します。
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映画『ダンケルク(2017)』は実話を基にしている?

映画『ダンケルク(2017)』は、第二次世界大戦中に実際に起こった「ダンケルクの撤退作戦」を基にしています。この作戦は、1940年5月から6月にかけて、フランス北部のダンケルクのビーチに取り残された約40万人の連合軍兵士が、ドイツ軍の包囲から脱出するために行われた大規模な撤退作戦です。ドイツ軍に追い詰められたイギリス軍やフランス軍の兵士たちは、海を通じてイギリス本土へと避難することを余儀なくされました。

映画の中で描かれているように、実際の撤退作戦では、軍の駆逐艦や商船だけでなく、多くの民間の小型船が動員され、兵士たちの救出に大きな役割を果たしました。これらの民間船は「小さな船」と呼ばれ、イギリス沿岸の漁師や一般市民が自らの船を使って兵士たちを救助し、ダンケルクからイギリスへと運びました。

映画はこの史実を基にしているため、ストーリー自体はフィクションですが、描かれている出来事や状況は事実に基づいています。クリストファー・ノーラン監督は、戦争の混沌や緊張感をリアルに再現するために、極力特撮を使わず、実際の戦艦や航空機を用いて撮影を行いました。これにより、映画全体が当時の緊迫した状況を再現し、観客に戦争のリアルな感覚を伝えることに成功しています。
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映画『ダンケルク(2017)』で、パイロットのファリアはなぜドイツ軍に捕まる?

映画『ダンケルク(2017)』で、パイロットのファリア(トム・ハーディ)は、勇敢にドイツ軍の爆撃機を撃墜し続け、兵士たちの救出作戦を支援します。彼の役割は、空からダンケルクのビーチで待つ兵士たちを守ることであり、空中戦で何機もの敵機を撃墜する活躍を見せます。しかし、彼の戦闘機の燃料が尽きることが、彼の運命を決定づけます。

ファリアは燃料が切れる直前まで戦闘を続け、最後の力を振り絞ってドイツ軍機を撃墜します。その後、彼は燃料が尽きたため、機体をダンケルクのビーチに不時着させます。着陸に成功しますが、彼はすぐに戦闘機を燃やします。これは、ドイツ軍に機体が渡って技術や情報を奪われるのを防ぐための措置です。

ファリアが戦闘機を燃やした後、彼はその場にとどまりますが、直後にドイツ軍の地上部隊に捕らえられます。彼は勇敢に戦い続けましたが、最終的に敵地に残され、捕虜として捕まってしまいます。このシーンは、ファリアの戦闘への献身と、最後まで味方を守り抜こうとする彼の覚悟を強調しています。同時に、彼が個人的には戦争の勝者とはならず、残酷な運命に直面するという現実も描かれています。

映画『ダンケルク(2017)』の最後のシーンの解釈

映画『ダンケルク(2017)』のラストで描かれるパイロットのファリア(トム・ハーディ)が戦闘機を燃やすシーンと、その後ドイツ兵に捕らえられるシーンは、彼の献身的な勇気と戦争の厳しい現実を象徴しています。

まず、ファリアが戦闘機を燃やす理由は、ドイツ軍にその機体を利用させないためです。戦闘機には重要な技術や情報が含まれているため、敵に渡れば軍事的な不利を招くことになります。ファリアは自分の乗っていた戦闘機を燃やすことで、ドイツ軍に利用されるリスクを排除し、責任感と軍人としての職務を全うします。この行動は、彼のプロフェッショナルな姿勢と、戦争の規律に忠実であることを示しています。

その後、ファリアは機体を燃やした後、無防備な状態でビーチに立ち尽くします。そして、ドイツ軍の兵士が彼に接近し、ファリアはその場で捕らえられてしまいます。これは、彼がどれだけ勇敢に戦ったとしても、最終的に一人の兵士として戦争の残酷な現実に直面することを意味しています。ファリアは味方を守り続けましたが、彼自身は戦争に勝利することができず、ドイツ軍の捕虜として終わります。

このシーンは、英雄的な行動の後でも個々の兵士が直面する無力さや、戦争の容赦ない現実を強調しています。ファリアの行動は高潔なものですが、戦場における彼の最期は静かで、劇的な結末を避けたリアリズムを強調するもので、戦争の本質を反映しています。

映画『ダンケルク(2017)』で、ラストに映る兵士の表情の意味とは?

映画『ダンケルク(2017)』のラストシーンで、救出された兵士たちが列車に乗り込み、イギリス本土に戻る様子が描かれます。その際、彼らの表情には深い意味が込められています。特に、若い兵士トミーが新聞を読み、新聞記事には「英雄的な撤退作戦」という言葉が大きく書かれています。この時、兵士たちの表情は疲れ切っており、安堵と混乱が入り混じったものとなっています。

この表情の意味は、彼らが無事に救出されたという安堵感だけでなく、彼らが「勝利者」として称賛されていることに対する複雑な感情を反映しています。ダンケルクの撤退は戦術的には敗北とみなされる状況でしたが、イギリス国内では「奇跡の撤退」として称賛されました。兵士たちは自分たちが生き延びたことに感謝しつつも、実際に多くの仲間が亡くなり、戦場での恐怖や苦悩を経験したことを忘れられません。

トミーをはじめとする兵士たちは、戦争の「英雄」ではなく、単に生き延びた人々としての現実を受け入れており、その複雑な感情が表情に表れています。彼らは救出されて安心していますが、戦争の影響はまだ消え去っておらず、これからの戦いが続くことを理解しています。このシーンは、兵士たちの人間性や戦争の残酷さを強調し、観客に戦争の現実を再認識させるものです。

映画『ダンケルク(2017)』で、最後のパイロットはなぜドイツ軍に捕まる?

映画『ダンケルク(2017)』の最後で、パイロットのファリア(トム・ハーディ)は、ドイツ軍に捕まります。彼は、ダンケルクのビーチで孤立した英軍兵士たちを守るために、空中戦で勇敢にドイツ軍機と戦い続けます。しかし、燃料が少なくなる中でも任務を続行し、最後には燃料が完全に尽きてしまいます。

燃料切れの状態で、ファリアは戦闘機をビーチに無事に不時着させます。不時着した後、彼は自分の戦闘機を燃やします。これは、ドイツ軍が機体を捕獲して技術や情報を奪わないようにするための行動です。彼の行動は、パイロットとしての責任感と使命感を表しています。しかし、その場に留まっていたファリアは、まもなくしてドイツ軍が到着し、捕虜として捕まります。

ファリアは戦闘機を燃やすことで敵に利用されないようにしましたが、燃料切れにより逃げる手段がなく、ドイツ軍に捕まる運命に直面します。彼の勇敢な行動と最終的に捕虜となる結末は、戦争の無情さと兵士の限界を示す重要なシーンとなっています。

映画『ダンケルク(2017)』を時系列順に並べるとどうなる?

映画『ダンケルク(2017)』は、3つの異なる時間軸を並行して描く特殊な構成を採用しています。これらの時間軸は、それぞれ「陸」、「海」、「空」の視点から描かれており、時間の流れが異なります。もしこれを時系列順に並べると、次のようになります。

まず、「陸」の物語はダンケルクのビーチに残された兵士たちの1週間を描いています。主人公トミーたちは、何度も敵の攻撃にさらされながら、なんとかして脱出しようと奮闘します。彼らは船に乗り込むものの、何度も沈没や襲撃に遭遇し、最後には民間船に救助されてイギリスへと戻ります。

次に、「海」の物語は1日の出来事です。ミスター・ドーソンが、息子と友人ジョージを連れて小型ボートでダンケルクに向かい、途中で救助を行いながら兵士たちを助ける様子が描かれます。この物語が進む中で、「陸」との時間軸が交差します。

最後に、「空」の物語は1時間の出来事です。パイロットのファリアがドイツ軍機を撃墜しながら、ダンケルクの兵士たちを守ろうと奮闘します。彼の戦闘が終わる頃に「陸」や「海」との時間軸が交わり、物語が統合されていきます。

これらの異なる時間軸が、最終的にダンケルクの救出作戦のクライマックスでひとつに繋がるようになっており、映画全体の緊張感を高めています。

映画『ダンケルク(2017)』で死亡するジョージの死因とは?

映画『ダンケルク(2017)』で、ジョージが死亡する原因は頭部への外傷です。ジョージは民間人として、ミスター・ドーソンとその息子ピーターと共に、小型ボートでダンケルクに向かい、兵士たちを救助するための航海に参加します。ジョージは若く、戦争で役に立ちたいという強い意志を持っていました。

彼らが船を進める中、途中で救助した英国軍の兵士(シリアン・マーフィが演じるキャラクター)は、戦争のショックから精神的に不安定な状態にあります。兵士は、再び戦場に戻ることを恐れ、非常に混乱していました。その結果、ボートに乗り込んでいたジョージとの口論が起こり、兵士がパニックに陥った際、ジョージは彼に押されてボートの階段から転落し、頭を打ってしまいます。

この事故によって、ジョージは深刻な頭部外傷を負います。彼は一時的に意識を保ちますが、次第に容態が悪化し、最終的にはボートの上で息を引き取ります。彼の死は、戦争の過酷さだけでなく、戦場に直接参加していない民間人にも影響を与える悲劇を象徴しています。彼は戦争で直接的な攻撃を受けたわけではなく、間接的に戦争の悲劇に巻き込まれた結果、命を落とすことになりました。

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