この記事では、映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』の結末・ラスト(ネタバレ)
主人公アスガーは、警察官ですが、ある問題を起こして一時的に電話での緊急対応の仕事をしています。ある日、彼は誘拐されたと言う女性、イブンからの電話を受けます。彼女は助けを求めており、アスガーは彼女を救おうと決意します。アスガーは電話越しに彼女の状況を聞き出し、彼女の夫であるミカエルが彼女を無理やり車に乗せて連れ去ったと信じます。
彼は何とかして彼女を助けようと、他の警察官や友人に頼みながら指示を出します。しかし、電話での情報だけでは全ての状況が分からず、誤解をしてしまいます。アスガーは自分の過去の過ちを思い出し、何としてでも彼女を助けようと焦ります。
やがて、アスガーはイブンが精神的に不安定であることを知ります。彼女は、自分の赤ちゃんの体内に蛇がいると錯覚していて、その「蛇」を取り除こうとして赤ちゃんを傷つけてしまったのです。彼女は自分のしたことに怯え、絶望しています。アスガーは、彼女が自殺しようとしていると感じ、必死に説得します。
アスガーは彼女に「自分の過去を許して生きていくことが大事だ」と伝え、自分も以前、任務中に無実の少年を誤って撃ってしまったことを告白します。彼はその罪にずっと悩まされており、イブンを救うことで自分の罪を償いたいと思っていました。
最終的に、アスガーの説得が功を奏し、イブンは飛び降り自殺を思いとどまります。警察が現場に到着し、彼女を無事保護します。アスガーは、自分の過ちを認め、法廷で全てを告白することを決意します。彼は、自分がしてしまった罪から逃げずに向き合うことを選んだのです。
映画の最後、彼は電話を切り、深く息をついて、救急センターを後にします。彼の顔には、どこか吹っ切れたような表情が見られます。アスガーは自分自身の罪と向き合い、新しい一歩を踏み出す決意を固めたのです。
この結末は、アスガーが過去の過ちを乗り越えようとする姿を描いており、彼自身が罪の意識から解放される過程を表しています。物語は、自己赦しと救済のテーマを描き出しています。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』の考察・解説(ネタバレ)
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』で視聴者がイライラする理由とは?
『THE GUILTY/ギルティ』は、ほぼ全編が主人公アスガーのいる警察の電話対応室で展開されます。視聴者がイライラする理由の一つは、この閉鎖的な空間と限られた情報だけで物語が進行することです。主人公は電話だけで事件を解決しようとしますが、彼の視点では詳細が分からず、状況がなかなか改善しないため、フラストレーションが溜まります。
さらに、アスガーは感情的になりやすく、決して冷静とは言えない行動を取ります。彼の焦りや苛立ちが伝わる場面が多く、観客もその影響を受けて緊張感を強く感じます。彼は自分の考えに固執し、相手の言葉に耳を傾けずに判断を下しがちで、その結果、誤解や思い込みからくる判断ミスを犯します。
また、視聴者はアスガーと同じ情報しか得られないため、彼と一緒に状況を把握しようとしますが、限られた情報からの推測が難しく、物事が思い通りに進まないことがイライラの原因となります。このように、主人公と観客が同じ立場で困惑しながら進むストーリー展開が、強い緊張感とともにイライラを引き起こすのです。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』でアスガ―がかけた最後の電話の内容とは?
映画のクライマックスで、アスガーは電話を通じて誘拐された女性イブンと話を続けます。彼女は混乱し、絶望の中で「私は何もかも終わらせなければならない」と言い、飛び降り自殺を考えています。アスガーは彼女を必死に説得し、彼女がやってしまった過去の過ちを責めずに、自分の経験を話し始めます。
彼は、以前に任務中に誤って無実の少年を射殺してしまったことを打ち明け、自分が犯した罪を告白します。彼は彼女に、後悔していること、そしてそれでも生きていかなければならないと伝え、彼女の命を救おうとします。この自己告白は、彼自身が罪を認めるきっかけにもなります。
アスガーの懸命な説得の結果、イブンは飛び降りを思いとどまり、アスガーは彼女を助けることに成功します。彼はこの最後の電話を通じて、彼女を救うだけでなく、自分の罪と向き合うことができたのです。この場面は、彼の内面的な変化を象徴する重要なシーンです。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』に気まずいシーンがあるのか?
『THE GUILTY/ギルティ』には、気まずいと感じるシーンがいくつかあります。特に、アスガーが感情的になり、他者に対して失礼な態度を取る場面はその一つです。彼は仕事のストレスや自身の過去の問題から苛立ちやすく、緊急通報に対して冷静さを欠いた対応をすることがあります。
また、彼が他の警察官や同僚に対して無礼な言葉を使い、イライラをぶつける場面もあります。特に、自分の思い込みで他者に強引に指示を出すシーンでは、彼の態度に不快感を覚えることもあります。このようなシーンは、彼が抱える内面的な問題や、自分自身のコントロールの欠如を表しており、見ていて気まずさを感じることがあります。
さらに、アスガーがイーベンとの電話で彼女の状況を誤解し、彼女を救うつもりで無理に話を進めてしまうシーンも、結果として彼女をさらに追い詰めてしまうため、見ていてハラハラします。このように、彼の過剰な行動や誤解がもたらすシーンが、物語の中で気まずさを生んでいるのです。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』は、本当につまらないのか?
『THE GUILTY/ギルティ』が「つまらない」と感じるかどうかは、観る人の好みによります。この映画は、ほぼ全編が一つの場所で展開され、電話を通じた会話だけで物語が進行します。そのため、派手なアクションや視覚的な変化を求める人にとっては、退屈に感じるかもしれません。
しかし、映画は緊張感あふれるストーリーと、心理的な駆け引きで観る者を引き込む力を持っています。アスガーの感情の変化や、電話越しに語られる事件の真実が徐々に明らかになる展開は、サスペンスとして非常に緊張感があります。また、彼が抱える過去の罪や葛藤が描かれ、物語に深みを与えています。
映画が伝えたいメッセージや、人間の感情の複雑さを理解し、じっくりと考えながら観ることができる人にとっては、とても興味深い作品です。逆に、テンポの速い展開や視覚的な刺激を求める観客にとっては、「つまらない」と感じられるかもしれません。この映画の魅力は、静かな緊張感と心理描写にあると言えます。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』に出てくる蛇は何の象徴なのか?
『THE GUILTY/ギルティ』では、蛇は登場人物が語るエピソードの中で象徴的に登場します。具体的には、誘拐された女性イーベンが蛇に関する話をするシーンがあります。彼女は、自分の体内に蛇がいると錯覚し、それを取り除こうとする行動をとります。
この蛇は、彼女の心の中にある恐怖や罪悪感、または精神的な混乱を象徴しています。彼女は、夫の虐待や家庭内の問題によって精神的に追い詰められており、現実と幻想の区別がつかなくなっています。蛇はその混乱や不安定さを視覚的に表す象徴です。
さらに、蛇は古代から誘惑や悪意、罪の象徴とされてきました。ここでは、イーベンの抱える心の闇や、自分自身が悪いことをしたという罪悪感を表しているとも解釈できます。映画全体を通して、この蛇の象徴は、人間の心の中に潜む暗い感情や、正しいことと悪いことの間での葛藤を描いています。
このように、蛇の象徴は物語に深い意味を持たせ、登場人物たちの内面の苦しみや混乱を表現しているのです。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』とリメイク版の違いとは?
『THE GUILTY/ギルティ(2018)』はデンマークの作品で、2021年にアメリカでリメイクされました。両作品の基本的なストーリーは同じですが、いくつかの違いがあります。
まず、舞台が異なります。オリジナル版はデンマークの警察署内の緊急通報センターで進行しますが、リメイク版はアメリカの911通報センターが舞台です。このため、登場人物の名前や背景もアメリカ風に変更されています。例えば、デンマーク版の主人公アスガーは、リメイク版ではジョー・ベイラーという名前になり、彼の過去の問題や背景もアメリカの警察の実情に合わせて描かれています。
また、リメイク版はアメリカの社会問題を反映しています。銃社会や警察の権限、社会的不平等などがテーマに含まれ、登場人物の葛藤や行動に影響を与えています。演出面では、デンマーク版はシンプルで静かな緊張感を重視していますが、リメイク版はよりドラマチックで派手な演出や音響効果を加えており、異なる雰囲気を作り出しています。
このように、両作品は国ごとの社会背景や文化を反映し、それぞれ異なる魅力を持つ作品となっています。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』に散りばめられた伏線とは?
映画『THE GUILTY/ギルティ』には、物語が進むにつれて明らかになるいくつかの伏線が散りばめられています。まず、主人公アスガーが抱えている「過去の事件」についての伏線です。彼は電話対応の仕事に従事していますが、作中の会話から、彼が重大な事件に関与しており、その結果として電話対応室に配置されていることが暗示されています。この伏線は、後半で彼が任務中に少年を誤って射殺してしまったことを告白する場面で回収されます。
次に、誘拐されたとされる女性イーベンの話の伏線です。彼女が電話で話す内容や、彼女の夫とされるミカエルの行動は、最初は彼が犯人であるかのように見えますが、実際は彼女が精神的に不安定であることが徐々に明らかになります。これにより、観客は最初に抱いた予想が大きく覆される仕掛けになっています。
また、アスガーがイーベンに「自分の子どもを守るために何をしたのか」と尋ねる場面も重要な伏線です。彼女は自分が子どもを「守った」と答えますが、これは彼女が実際には子どもを危険にさらしてしまったという事実を示唆しています。この伏線は、物語の最高潮で、彼女が自分の赤ちゃんを傷つけてしまった真実が明らかになる場面で回収され、観客に衝撃を与えます。
これらの伏線は、映画の緊張感を高め、観客を最後まで引きつける重要な要素となっています。
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