この記事では、映画『RUN/ラン(2020)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。
映画『RUN/ラン(2020)』の結末・ラスト（ネタバレ）
映画『RUN/ラン(2020)』の結末は、クロエが母親ダイアンからの支配からついに逃れる場面で終わります。物語を通して、クロエはダイアンによって何年もの間、病気だと思い込まされ、車椅子生活を強いられていました。しかし、クロエが自分が投与されている薬の異常さに気付き、母親が彼女を病気に仕立て上げていた事実を知り、逃げ出すことを決意します。
物語のクライマックスでは、クロエが家から脱出し、病院にたどり着きますが、ダイアンはクロエを追いかけてきます。クロエは薬の影響で体が思うように動かない中、なんとか助けを求めようとします。最終的に、ダイアンがクロエに再び危害を加えようとした瞬間、警察が到着し、ダイアンは逮捕されます。
物語のラストシーンでは、数年後のクロエが描かれています。彼女はリハビリを経て、義足を使って自立した生活を送っていることが示されます。このシーンでは、クロエが母親ダイアンに面会に訪れる様子が描かれています。ダイアンは今、刑務所の医療施設に収容されており、自分がかつてクロエに与えていたような薬を投与されています。母親を見下ろしながら、クロエは「お薬の時間よ」と言い、ダイアンに薬を与えます。
このラストシーンは、クロエが完全に母親の支配から逃れ、自分の人生を取り戻したことを象徴しています。ダイアンが長年クロエに対して行っていた支配とコントロールが、今度はクロエがダイアンに対して行う形で逆転しています。この逆転は、クロエが自分を抑圧していた恐怖から解放され、ダイアンに対して自分の力を取り戻したことを示しています。
クロエが自立して生きている様子や、母親に対する復讐心を見せる場面は、映画全体のテーマである「支配と自立」を強調し、深い余韻を残す結末となっています。
映画『RUN/ラン(2020)』の考察・解説（ネタバレ）
映画『RUN/ラン(2020)』で、ダイアンの背中の傷の意味
映画『RUN/ラン(2020)』でダイアンの背中の傷は、彼女が抱える過去のトラウマと精神的な痛みを象徴しています。物語の背景には、ダイアンが実の子供を早産で失ったという事実があります。彼女はこの悲劇を乗り越えることができず、精神的に深く傷つきました。ダイアンが背負っているこの傷は、実際の肉体的な痛みだけでなく、心の中の傷をも表しており、彼女が娘を失ったことで抱える感情的な苦しみを示しています。
その後、ダイアンはクロエという女の子を誘拐し、実の娘のように育て始めますが、その行動は非常に異常なものです。彼女はクロエに不必要な薬を与え、彼女を病気に仕立て上げ、過剰な世話を焼くことで支配し続けます。ダイアンの背中の傷は、彼女が過去の悲しみから逃れられず、現在の狂気じみた行動に繋がっていることを視覚的に示すものです。
この傷は、ダイアンの異常な愛情の根源にある「失うことへの恐怖」を象徴しており、彼女が娘を守るためなら何でもするという危険な思考に至った原因を暗示しています。彼女の背中の傷は、彼女が過去の出来事から癒されることができず、その痛みが現在の彼女の行動に影響を与えていることを強調しています。
映画『RUN/ラン(2020)』はディーディー・ブランチャード殺害事件の実話を題材にしている？
映画『RUN/ラン(2020)』は、ディーディー・ブランチャード殺害事件にインスパイアされた作品だと考えられています。ディーディー・ブランチャードは、娘のジプシー・ローズを実際には患っていない病気だと思い込ませ、長年にわたって介護を強要していました。この事件は、いわゆる「代理ミュンヒハウゼン症候群」と呼ばれる精神疾患に関わる実話であり、ディーディーが娘を過剰に保護しつつ支配する姿が話題となりました。
『RUN/ラン』の物語も、クロエが母親ダイアンによって車椅子生活を強いられ、健康に問題があると信じ込まされている点が非常に似ています。ダイアンはクロエのために「献身的な母親」を演じていますが、実際にはクロエの体調や生活を完全にコントロールし、彼女の自立を妨げています。このような関係性が、ディーディーとジプシーの実話と共通しているため、映画がこの事件から着想を得ている可能性は高いと言えます。
ただし、映画そのものはフィクションであり、事件を直接的に描いたものではありませんが、母親が子供を不必要に病気に見せかけるという異常な関係が、映画のテーマとして色濃く反映されています。
映画『RUN/ラン(2020)』に気まずいシーンはあるか？
映画『RUN/ラン(2020)』には、家族や恋人と一緒に観ると気まずく感じるシーンがいくつかあります。特に、母親ダイアンと娘クロエの関係性が非常に歪んでいるため、親子関係に敏感な視聴者にとっては、不快感を覚える部分があるかもしれません。ダイアンはクロエの身体的な健康を完全にコントロールし、クロエが成長し自立しようとするたびに、薬物や強制的な手段でその自由を奪おうとします。
また、ダイアンがクロエを家に閉じ込め、外の世界との接触を禁止し、嘘をつき続けるシーンは、精神的な虐待を連想させます。このような母親による支配や虐待の描写は、観ていて非常に不安を感じさせるものであり、親子の絆がテーマの映画としては気まずいと感じる視聴者も多いでしょう。
さらに、クロエが母親から逃げ出そうとするシーンや、体に異常を感じて疑念を抱き始めるシーンなど、精神的に追い詰められる描写が続くため、家族で観るには少し重い内容だと感じるかもしれません。
映画『RUN/ラン(2020)』のラストでクロエが見せた義足の意味とは？
映画『RUN/ラン(2020)』のラストシーンで、クロエが見せる義足には、彼女が母親ダイアンからの支配を完全に断ち切り、自立した存在になったことを象徴しています。映画の中で、クロエは長年にわたりダイアンによって病気や障害を持つように仕向けられ、体を自由に動かせない状況に置かれていました。しかし、物語の最後において、クロエはついに自分の力で母親の支配から逃れ、リハビリを経て義足を使用するまでに回復しています。
義足は、クロエがこれまでの苦しみや制約を乗り越えてきた象徴です。母親によって押し付けられた虚偽の障害を克服し、今や自分自身の人生を歩む力を持つようになったことを表しています。クロエはこれまで母親の言いなりで、物理的にも精神的にも自由を奪われていましたが、義足を使用する彼女の姿は、彼女がもう過去の束縛に囚われていないことを強調しています。
また、義足を見せる場面は、クロエが自分の意志で生きる決意を固めたことを示しており、映画全体のテーマである「自立」と「自由」の象徴的なシーンとなっています。
映画『RUN/ラン(2020)』のラストに出てきた薬は何だったのか？
映画のラストで、クロエがダイアンに与えた薬は、かつてダイアンがクロエに投与していた薬であることが示唆されています。物語全体を通して、ダイアンはクロエに対してさまざまな薬を飲ませることで、彼女を病気や障害に見せかけ、支配し続けていました。クロエが母親に投与した薬は、母親の支配の象徴であり、同時に復讐の手段として使用されたものです。
クロエは、母親が自分に行ってきた恐ろしい行為を完全に理解し、その恐怖を逆転させるために薬を使います。母親が意図的に彼女を病弱にし、自由を奪ったのと同じ方法で、クロエも母親を薬で支配しようとするのです。この行動は、クロエが自分の人生を取り戻すために、母親に対する復讐心を示しているシーンでもあります。
薬はクロエにとってかつての苦しみの象徴であり、それを母親に与えることで、彼女は自分の力を取り戻し、母親への最後の決着をつける意図が込められています。
映画『RUN/ラン(2020)』のラストで、クロエのセリフが意味するものとは？
映画『RUN/ラン(2020)』のラストで、クロエがダイアンに向かって言う「お薬の時間よ」というセリフは、映画全体のテーマである母と娘の支配と逆転を象徴する重要なセリフです。これまで物語を通じて、ダイアンがクロエを支配していた手段は、薬を使って彼女の体調や行動をコントロールすることでした。ダイアンは「お薬の時間」と称して、クロエに必要のない薬を強制的に与え、彼女を病気にし続けていたのです。
ラストシーンで、クロエが「お薬の時間よ」と言うことで、支配の立場が完全に逆転したことを意味しています。今度はクロエがダイアンに薬を与え、彼女を支配し返す立場に立ちます。このセリフには、クロエが自分の人生を取り戻し、母親の支配から脱したことが込められており、これまでの抑圧された人生に対する強い反発と復讐の意志が反映されています。
また、このセリフは、母親に対する心理的な勝利を示すものであり、長年の束縛から解放されたクロエが、自分の未来を自ら選び取る決意を固めたことを象徴しています。
映画『RUN/ラン(2020)』に出てくる緑色の薬の正体
映画『RUN/ラン(2020)』に登場する緑色の薬は、クロエに投与されていたもので、筋肉の緊張を緩和し、体の自由な動きを制限する薬です。この薬の存在が物語の鍵を握っており、母親ダイアンがクロエを意図的に障害者に見せかけていたことを示す重要な証拠となります。
クロエは、映画の途中でこの緑色の薬が「トリゴシン」という名称の薬であることを突き止めます。本来、この薬は、犬や動物に処方される筋肉弛緩剤であり、人間に対して使われるものではありません。ダイアンはこの薬をクロエに投与し、彼女の歩行能力を奪い、クロエを車椅子生活に追い込んでいたのです。クロエが薬の正体に気づいた時、彼女は自分が母親によって長年にわたり騙され、自由を奪われていたことを理解します。
この薬の存在は、ダイアンがどれほど病的な方法でクロエをコントロールしていたかを強調しており、物語のクライマックスで母娘の対決が迫る重要な要素として機能しています。
映画『RUN/ラン(2020)』でダイアンに襲われたトムはどうなったのか？
映画『RUN/ラン(2020)』の中で、ダイアンに襲われた薬剤師のトムは、彼がクロエに真実を伝えようとした直後にダイアンによって襲撃されます。トムはクロエに、母親が彼女に与えている薬の名前を教える重要な役割を果たします。クロエがダイアンに疑念を抱き始め、真実を知ろうとした際、彼女はトムの助けを求めて薬局に電話をします。トムはクロエの質問に答え、緑色の薬が「トリゴシン」であることを明かし、これが動物用の薬であることを教えます。
しかし、この情報を知った直後、ダイアンがトムの家に押し入り、彼を襲撃してクロエに薬の正体を伝えることを阻止しようとします。トムはダイアンに襲われ、クロエとの接触を断たれてしまいますが、映画の中で彼のその後がどうなったかについては明確には描かれていません。
観客は、ダイアンがトムを殺害したか、少なくとも重傷を負わせた可能性が高いと推測します。彼の襲撃シーンは物語の緊張感を高め、クロエがますます母親の恐ろしい支配から逃れる必要があることを示す重要な場面となっています。
みんなのコメント