映画『風立ちぬ(2013)』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『風立ちぬ(2013)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『風立ちぬ(2013)』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『風立ちぬ(2013)』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『風立ちぬ』は、飛行機を作ることを夢見る青年、堀越二郎の物語です。彼は子どもの頃から飛行機に強い憧れを持ち、やがて飛行機の設計士として活躍します。物語は、彼が夢を追いかける一方で、戦争の時代背景や愛する人との出会い、別れを描いています。

物語の終盤、二郎は自分の夢である美しい飛行機を作ることに成功します。しかし、その飛行機は戦争のために使われ、多くの命を奪うことになります。二郎は、自分の夢と現実の間で葛藤しながらも、飛行機作りを続けることを選びます。彼の心の中には、夢を叶えた喜びと、その飛行機が戦争の道具となってしまった悲しみが混在しています。

一方、二郎は病気の女性、菜穂子と出会い、恋に落ちます。二人は愛し合い、結婚しますが、菜穂子は結核という重い病気を抱えており、次第に体調が悪化していきます。菜穂子は二郎のそばにいたいと願いますが、自分の病気が彼に負担をかけることを心配して、療養所へと戻ることを決意します。

ラストシーンでは、二郎は飛行機作りを続けながら、ふと菜穂子のことを思い出します。彼は、夢の中で再び菜穂子と出会い、彼女が「生きて」と優しく微笑む姿を見ます。その後、二郎は美しい青空を見上げ、彼の作った飛行機が空を飛んでいくのを見守ります。

この結末は、二郎が夢を追い続けたこと、そして愛する人を失った悲しみの中で生きる決意をしたことを象徴しています。彼は、自分の作った飛行機が戦争に使われたことを後悔しながらも、飛行機作りへの情熱を失わず、菜穂子との思い出を胸に生きていくことを決めたのです。物語の最後は、悲しみと希望が入り混じった静かな余韻を残し、二郎のこれからの人生を暗示しています。
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映画『風立ちぬ(2013)』の考察・解説(ネタバレ)

映画『風立ちぬ(2013)』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『風立ちぬ(2013)』の主人公が「クズ」「サイコパス」と言われる理由は?

『風立ちぬ』の主人公、堀越二郎は、夢の中で飛行機を設計することに情熱を注ぎますが、彼の行動や考え方が「クズ」や「サイコパス」と言われる理由は、いくつかあります。まず、二郎は戦争のための飛行機を作ることに没頭しており、それが人々の命を奪う可能性があることに対して無関心であるように描かれています。彼は、飛行機の美しさや技術にのみ関心を持ち、その結果、戦争の現実を見ようとしない姿勢が、非人道的だと批判されることがあります。

また、妻の菜穂子が結核という重い病気を患っているにもかかわらず、彼は仕事に没頭し、彼女の看病を疎かにしていると感じる場面もあります。このような態度が、彼の冷酷さや無関心さを際立たせ、「サイコパス」や「クズ」という言葉で表現される理由の一つです。

彼は、自分の夢を追い求めることに集中しすぎて、周りの人々の気持ちや状況に鈍感であると映る場面が多く、そうした側面が批判の対象となっています。
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映画『風立ちぬ(2013)』が意味が分かると怖いと言われる理由は?

『風立ちぬ』が「意味が分かると怖い」と言われる理由は、物語の背景に隠されたテーマと、主人公の行動にあります。主人公の堀越二郎は、戦争という現実の中で、自分の理想の飛行機を作ることに情熱を注ぎます。彼の設計した飛行機は、結果として戦争の道具として使われ、多くの命を奪うことになります。

彼が夢中になっているのは、美しい飛行機を作るという夢であり、その夢を追い求める過程で、戦争の現実や人命の重さについて深く考えない姿勢が、観客に恐怖感を与えるのです。つまり、二郎の純粋な夢と、それがもたらす残酷な現実とのギャップが「怖い」と感じさせます。

また、彼が妻の菜穂子の病気に対しても、仕事に没頭するあまり十分に向き合わない様子も、一見ロマンチックな愛情物語の中に、冷酷さや非情さが感じられる部分です。このように、表面的には美しい物語の中に潜む、現実の残酷さや非情な選択が「意味が分かると怖い」と言われる理由です。
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映画『風立ちぬ(2013)』で菜穂子の死因はなに?

映画『風立ちぬ』で、主人公の堀越二郎の妻である菜穂子の死因は結核です。結核は、当時の日本では非常に深刻な病気で、効果的な治療法もなく、多くの人が命を落としていました。菜穂子も若い頃からこの病気に苦しんでおり、彼女の病状は物語の中で次第に悪化していきます。

菜穂子は、二郎と結婚してからもしばらくは彼のもとで過ごしますが、彼に負担をかけたくないという思いから、一度はサナトリウム(療養所)に戻ります。その後、二郎のもとに戻り、彼と短いながらも幸せな時間を過ごしますが、彼女の体調は次第に悪化していきます。

物語の終盤、菜穂子は二郎に最後の別れを告げるため、彼のもとを去ります。彼女が去った後、菜穂子の死がほのめかされますが、映画では彼女の最期のシーンは描かれません。菜穂子は、結核によって命を落とし、二郎にとって深い悲しみを残します。
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映画『風立ちぬ(2013)』が声優がひどいと言われる理由は?

映画『風立ちぬ』の主人公、堀越二郎の声を担当したのは、アニメ声優ではなく、俳優の庵野秀明です。庵野秀明は、アニメ監督として知られていますが、声優の経験はほとんどありません。そのため、二郎の声に違和感を感じる人が多く、特に感情表現が乏しいと感じられることが批判の理由となっています。

庵野の演技は、感情を抑えた淡々とした口調で、普段アニメで聞き慣れた声優の演技とは異なります。これが、特にアニメ作品に慣れている観客には「ひどい」と感じられることがあります。特に、物語の中で二郎が感情を表すべきシーンでも、声のトーンがあまり変わらず、感情が伝わりにくいと感じる場面があります。

宮崎駿監督は、あえて庵野を起用することで、二郎のキャラクターに無機質で理知的なイメージを持たせようとしたのかもしれませんが、それが必ずしもすべての観客に受け入れられたわけではありません。このような理由から、声優がひどいと評価されることがあります。
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映画『風立ちぬ(2013)』が伝えたいこととは?

『風立ちぬ』が伝えたいことは、「夢を追い求めることの喜びと、その代償」です。主人公の堀越二郎は、飛行機の設計という自分の夢に全てを捧げます。彼は幼い頃から飛行機に憧れ、美しい飛行機を作ることを目指して努力し続けます。彼の姿は、夢を持ち、その実現のために努力することの大切さを教えてくれます。

しかし、彼の夢は戦争という現実と深く結びついており、その結果、多くの人々が命を失います。彼は、自分の作った飛行機が戦争の道具として使われることに悩みながらも、夢を諦めることはありません。この点で、夢を追い求めることの責任や、その背後にある悲しみが描かれています。

また、二郎と菜穂子の愛の物語も重要なテーマです。菜穂子は、結核という重い病気を患いながらも、二郎と共に過ごすことを選びます。彼女の存在は、夢を追う中でも大切なものを見失わないようにというメッセージを伝えています。

『風立ちぬ』は、夢を追いかけることの美しさと、それに伴う困難や犠牲について考えさせられる作品です。

映画『風立ちぬ(2013)』の主人公のモデルは誰?

映画『風立ちぬ』の主人公、堀越二郎は実在の人物をモデルにしています。彼のモデルとなったのは、実際に零戦(零式艦上戦闘機)などの日本の戦闘機を設計した航空技術者、堀越二郎です。堀越二郎は、1903年に生まれ、戦前から戦後にかけて日本の航空産業の発展に大きく貢献した人物です。

彼は、幼い頃から飛行機に強い憧れを持ち、航空技術を学び、数々の飛行機を設計しました。彼の設計した零戦は、第二次世界大戦中に日本の主力戦闘機として使われ、その優れた性能で世界中に知られることになりました。しかし、彼が設計した飛行機が戦争の道具として使われ、多くの命が失われたことも事実です。

映画の中では、堀越二郎の人物像が脚色され、宮崎駿監督の想像力によって再解釈されていますが、基本的な背景や飛行機に対する情熱は、実在の堀越二郎の人生に基づいています。このように、彼の人生を通じて、夢を追い求めることの美しさと、その背後にある現実の厳しさが描かれています。

映画『風立ちぬ(2013)』で、結核患者とのキスで感染はしない?

映画『風立ちぬ』では、主人公の堀越二郎が結核を患っている妻の菜穂子とキスをするシーンがあります。結核は、空気を介して感染する病気で、患者が咳やくしゃみをした際に飛び散る細菌を吸い込むことで感染する可能性があります。しかし、キスそのもので感染する確率は非常に低いとされています。

これは、結核菌が主に肺に感染するため、唾液を介して直接感染することは少ないからです。特に、菜穂子が結核の治療を受けている場合は、感染の可能性がさらに低くなります。また、菜穂子は物語の終盤、病状がかなり悪化しており、二郎とキスをするシーンでは、彼女がすでに自分の運命を受け入れていることを示しています。

このシーンは、単に病気の感染を心配するというよりも、二人の愛情と覚悟を象徴しています。二郎と菜穂子は、お互いを深く愛し合い、たとえ病気があってもその絆を大切にしたいという気持ちが描かれています。そのため、キスのシーンは、病気の感染の危険性よりも、二人の愛の深さを表現したものと解釈するべきでしょう。

映画『風立ちぬ(2013)』の菜穂子が視聴者から「嫌い」と言われる理由は?

映画『風立ちぬ』の菜穂子が「嫌い」と言われる理由は、いくつかあります。まず、彼女は結核という重い病気を患いながら、堀越二郎と結婚しますが、彼女の行動や態度が視聴者にとって理解しにくい場面があるからです。菜穂子は、病気が進行しているにもかかわらず、二郎と一緒にいたいという強い気持ちを優先し、彼の家に戻ります。しかし、この行動が「自分勝手だ」と感じる視聴者もいます。

また、彼女が病気を隠して、二郎に心配をかけたくないという思いから、無理をして笑顔で振る舞う場面が多く見られます。これが、時に彼女の行動が非現実的に映り、視聴者に共感を得られない要因となっています。さらに、彼女の行動や感情表現が控えめで、感情の動きが見えにくいため、キャラクターとしての魅力が伝わりにくいと感じる人もいます。

こうした理由から、菜穂子のキャラクターに共感できない視聴者が「嫌い」と感じることがあるのです。しかし、彼女の行動や思いは、病気と戦いながらも愛する人と共に生きたいという切実な願いから来ており、その一途な気持ちを理解すると、また異なる見方ができるかもしれません。

映画『風立ちぬ(2013)』は実話に基づいているのか?

映画『風立ちぬ』は、実在の人物と架空の要素を組み合わせて作られた物語です。主人公の堀越二郎は、実際に存在した航空技術者で、零式艦上戦闘機(零戦)などの戦闘機を設計した人物がモデルとなっています。彼は戦前から戦後にかけて日本の航空産業に多大な貢献をした人物で、映画の中で描かれる飛行機作りへの情熱や葛藤は、彼の実際の経験に基づいています。

しかし、物語にはフィクションの要素も多く含まれています。たとえば、二郎の妻である菜穂子は架空の人物であり、彼女との愛の物語は映画のオリジナルストーリーです。菜穂子という名前や結核という設定は、作家・堀辰雄の小説『風立ちぬ』から取られており、堀越二郎の実際の人生とは異なります。

映画は、堀越二郎の実話と、堀辰雄の文学作品を組み合わせた独自の物語であり、宮崎駿監督の解釈と想像力によって描かれています。そのため、完全な実話というわけではありませんが、現実の出来事や人々の思いが重なり合った、非常にリアルな作品に仕上がっています。

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