映画『ロブスター』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『ロブスター』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『ロブスター』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『ロブスター』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『ロブスター』の結末では、主人公デヴィッド(キャスト名:コリン・ファレル)が愛する女性(キャスト名:レイチェル・ワイズ)との関係を維持するため、衝撃的な決断を迫られます。この社会では、恋人同士が「共通点」を持つことが重要視されており、女性が失明したことでデヴィッドは自らも失明しようとします。

ラストシーンでは、デヴィッドがレストランのトイレでナイフを取り出し、自分の目を刺そうと準備します。しかし、映画は彼が実際に失明したかどうかを明確には描きません。その後、女性がテーブルで待ち続ける姿が映し出されますが、デヴィッドが戻る場面はなく、物語はそのまま幕を閉じます。

この曖昧な結末は、観客に対して愛の本質や犠牲について深く考えさせるものとなっています。デヴィッドが彼女と共通点を持つために失明を選ぶことは、彼の愛がどれほど深いかを示していますが、同時に社会の非人道的なルールに従おうとする葛藤も反映しています。一方で、彼がナイフを使うのを躊躇した可能性もあり、愛と自由の狭間で揺れ動く人間の複雑な心理を描いていると言えます。

このラストは、物語のテーマである「人間関係の条件」や「個人の自由」といった要素を象徴しており、多くの解釈を観客に委ねる形で映画が締めくくられます。

映画『ロブスター』の考察・解説(ネタバレ)

映画『ロブスター』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『ロブスター』に出てくるメイドの正体は?

映画『ロブスター』に登場するメイド(キャスト名:アリアーヌ・ラベド)は、ホテルに仕える存在として描かれていますが、その正体は独身族の内通者であることが後に明らかになります。彼女はホテルの運営側に従事しているように見える一方で、独身族に情報を流し、内部の状況を報告しています。この内通行為によって、独身族はホテルの計画を事前に察知することが可能となっています。

しかし、なぜメイドが独身族の内通者になったのか、その理由について映画内では詳しく説明されていません。彼女自身が独身者として抑圧された過去を持つ可能性や、ホテルの支配的な体制に反感を抱いている可能性が考えられます。このキャラクターの存在は、物語全体におけるホテル側と独身族の対立構造を際立たせる重要な役割を果たしています。

映画『ロブスター』に犬がたくさん登場する理由は?

映画『ロブスター』の世界では、近未来の社会で45日間以内に配偶者を見つけられなければ動物に変えられるという設定があります。さらに、その動物は本人が選ぶことができるため、犬を選ぶ人が非常に多いことが作中で描かれています。このため、映画内で犬がたくさん登場する理由は、この設定によるものです。

主人公デヴィッド(キャスト名:コリン・ファレル)の兄も、犬に変えられており、物語の重要な要素として描かれます。犬は人間に最も親しまれる動物であり、孤独を癒やす存在として象徴的に描かれています。この点が、多くの人々が犬を選ぶ理由としても反映されています。映画内の犬の存在は、社会が独身者に課している非人道的な制度を風刺的に表現していると言えます。

映画『ロブスター』の冒頭で女性がロバを撃ち殺すシーンの意味は?

映画の冒頭で、ある女性がロバを撃ち殺す衝撃的なシーンがあります。この場面は観客に強い印象を与えますが、その意味については映画内で直接的な説明はありません。ただし、多くの解釈の中で有力なものとして、このロバが女性のかつての恋人であった可能性が挙げられます。動物に変えられた恋人に対する彼女の恨みや復讐心が、この行動の動機とされています。

このシーンは、映画の設定やテーマを象徴的に表現しており、人間が動物に変えられるという非現実的なルールが、感情的な悲劇を引き起こしていることを示唆しています。ロバを撃つという行為は、社会の規範や抑圧が個人の行動にどれだけ影響を及ぼしているかを暗示しているとも言えます。

映画『ロブスター』に出てくる独身族のリーダーはどんな人物?

映画『ロブスター』に登場する独身族のリーダー(キャスト名:レア・セドゥ)は、冷淡で独善的な人物として描かれています。彼女は独身族を束ねるリーダーでありながら、メンバーに対して厳格なルールを課し、感情や恋愛を一切認めません。彼女の態度や行動は冷酷で、時にはメンバーに対する制裁も辞さない姿勢を見せます。

彼女はホテルの支配的な社会と対抗する立場にありながら、自身の組織でも同じように抑圧的な支配を行っています。この矛盾した姿勢は、彼女が内心では自分の立場や価値観に葛藤を抱えている可能性を示唆しています。ただし、映画内では彼女の背景や動機について詳しく描かれておらず、あくまで謎めいた人物として物語に登場します。

彼女の存在は、社会的な抑圧の対比を強調し、独身者としての自由が必ずしも理想的なものではないというメッセージを含んでいます。そのため、物語全体の緊張感を高める重要な役割を果たしています。

映画『ロブスター』で最後デヴィッドは失明したのか?

映画『ロブスター』のラストシーンでは、デヴィッド(キャスト名:コリン・ファレル)が失明した女性(キャスト名:レイチェル・ワイズ)と一緒になるために、自らの目をナイフで刺し失明しようとする描写があります。しかし、実際に失明したかどうかは映画内で明確には描かれません。この曖昧な結末は、観客に大きな考察の余地を残しています。

デヴィッドが失明しようとした理由は、彼女との共通点を持つことで、愛を証明しようとしたからです。この世界では、恋人同士が何らかの共通点を持つことが重要視されており、失明もその一環として描かれています。しかし、デヴィッドが最後に本当にナイフを刺したのか、あるいは躊躇して思いとどまったのかは示されません。

この結末は、愛の本質や社会が課すルールの矛盾について観客に問いかける形となっており、映画のテーマである「愛の条件」や「人間の選択」を象徴しています。

映画『ロブスター』で描かれた「狩り」とは?

映画『ロブスター』で描かれる「狩り」とは、ホテルの住人たちが森に隠れている独身者を麻酔銃で撃ち、捕獲する行為を指します。この狩りは、ホテルに収容された人々が配偶者を見つけるまでの間に課される義務の一つであり、撃った独身者の数に応じて自分の滞在期間を延ばすことができるというルールが存在します。

この設定は、独身者が社会的に抑圧され、追い詰められる存在であることを象徴しています。社会が独身を「異常」と見なし、強制的に排除しようとする姿勢がこの狩りのシステムに反映されています。一方で、森に隠れる独身族はこの社会的抑圧に対抗して自由を求めている存在として描かれます。

狩りは、ホテルのルールを守ることの厳しさと、独身者に対する抑圧を強調する場面として物語全体の緊張感を高める役割を果たしています。

映画『ロブスター』にグロいシーンはある?

映画『ロブスター』には、観客に強烈な印象を与えるグロテスクなシーンがいくつか含まれています。その中でも特に衝撃的なのが、デヴィッド(キャスト名:コリン・ファレル)の兄が殺されるシーンです。デヴィッドの兄は、動物に変えられた後、犬として生活していますが、薄情な女(キャスト名:アンゲリキ・パプリア)によって無情に殺されてしまいます。このシーンは、愛や家族の絆が動物の姿になったとしても変わらないことを示しつつ、その絆が断たれる痛みを観客に強く訴えかけます。

さらに、ラスト近くのデヴィッドが自らを失明させようとする場面も、観る者に大きな衝撃を与えるものとなっています。彼がナイフを使って目を突こうとする描写は詳細には映し出されませんが、緊張感と不安感を煽る演出となっています。これらのシーンは、物語の非人道的な制度や人間関係の歪みを強調する役割を果たしています。

映画『ロブスター』がつまらないと言われる理由は?

映画『ロブスター』が「つまらない」と評価される理由の一つは、その独特な設定や展開が多くの観客にとって非現実的に感じられることです。物語の核心である「配偶者を見つけられない者は動物に変えられる」という設定は風刺的でユニークですが、現実の感覚から大きくかけ離れているため、共感しにくいと感じる観客もいます。

また、映画の進行がゆっくりで、登場人物の感情表現が抑えられているため、物語の展開に入り込みづらいという意見もあります。特に、登場人物たちが機械的で感情の薄い話し方をする場面が多いことが、キャラクターに親近感を抱きにくくさせています。これらの要素が重なり、映画全体が淡々として退屈に感じられるという評価につながっています。

一方で、この映画は現代社会への風刺や哲学的なテーマを扱っているため、理解が難しいと感じる観客もいます。このような点が一部の観客にとって「つまらない」と評価される理由となっています。

映画『ロブスター』でデヴィッドが手錠でベッドに繋がれている理由は?

映画『ロブスター』でデヴィッド(キャスト名:コリン・ファレル)が手錠でベッドに繋がれるシーンは、ホテルの厳格なルールを象徴しています。デヴィッドはホテルの規則に従わなかった罰として手錠で拘束されます。この描写は、独身者がどれほど厳しい社会的な制約を受けているかを示すと同時に、独身でいることがいかに不自由で不便なものとみなされているかを象徴しています。

このシーンは、ホテルが独身者に対して行う非人道的な扱いを際立たせ、社会が独身者をどのように抑圧しているかを強調する役割を果たしています。また、手錠での拘束という形は、自由を奪われた人々の姿を視覚的に強調し、物語全体のテーマである「自由」と「抑圧」を視覚的に伝える効果を持っています。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『シネマヴィスタ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『MIHOシネマ』の編集長も兼任しています。

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