映画『佇むモンスター』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『佇むモンスター』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『佇むモンスター』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『佇むモンスター』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『佇むモンスター』の結末では、主人公の賢治が、虐待を受けていた少女・樹梨杏の霊に導かれて、彼女が亡くなった真実に迫ります。物語の中盤で、賢治は樹梨杏の母親である梨子が彼女を虐待していたことを知り、さらに梨子が樹梨杏を建物の屋上から突き落として命を奪ったことが明らかになります。賢治は悲しみに満ちた樹梨杏の最後の瞬間を感じ取り、彼女を守ってやれなかった無念さを抱えます。

結末に向かって、賢治は霊として現れた樹梨杏が彼のもとに訪れるのを目撃します。樹梨杏の魂は、まだ母親への恐怖と悲しみから解放されていない様子で、賢治に助けを求めるかのように現れるのです。そして賢治は、彼女を安心させて成仏させようと決意し、彼女が苦しみから解き放たれることを祈ります。

物語の最終シーンでは、樹梨杏の母親・梨子が突然現れて賢治に襲いかかります。この場面は、実際に梨子が現れたのか、それとも賢治が彼女の悪夢に取り憑かれているのかは曖昧に描かれています。賢治が彼女の幻影を見ている可能性もあり、観客にとっては現実と幻覚の境界があいまいになります。梨子が賢治を襲う瞬間で映画は終わり、物語に明確な結末を示すことなく、不安な余韻を残します。

このように、映画のラストは、賢治が母親の恐怖から完全に逃れられない可能性を暗示し、彼もまた「佇むモンスター」に取り憑かれてしまうのではないかという不安を抱かせる形で幕を閉じます。樹梨杏の魂が救われたのかどうか、梨子が本当に賢治のもとに現れたのかなど、結末は観客の解釈に委ねられており、考えさせられる余韻が残る作品となっています。

映画『佇むモンスター』の考察・解説(ネタバレ)

映画『佇むモンスター』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『佇むモンスター』は実話を基にしている?

『佇むモンスター』は、児童虐待をテーマにしたホラー映画であり、実話に基づいていると言われています。物語の根底には、2021年末に発生した痛ましい事件があるとされています。この事件では、母親が自らの幼い子どもをホテルの屋上から突き落とし、命を奪うという衝撃的な出来事が起こりました。この事件の背景には、虐待や家庭内の問題が複雑に絡んでおり、社会に大きな衝撃を与えました。

映画のエンドロールには、この事件が映画の元になっていることが明記されていますが、映画では事実そのものを詳細に描くというよりも、恐怖と悲しみが入り混じる形でストーリーが展開します。映画を通じて、虐待によって無念の死を遂げた子どもと、その子どもを巡る大人たちの恐怖や葛藤が描かれており、単なるホラー要素だけではなく、社会問題としての児童虐待の恐ろしさや哀しみが強調されています。

作品全体を通して、実話を基にしたからこその現実感や、フィクションとは異なる暗い余韻を観客に与えることを意図しているのが特徴です。

映画『佇むモンスター』の元ネタになった事件とは?

『佇むモンスター』の物語の元になったのは、2021年末に実際に起きた児童虐待事件です。この事件では、母親が自分の幼い子どもをホテルの屋上から突き落とし、悲劇的な結果となりました。警察の調査によると、この母親は日常的に子どもに対して厳しい態度を取っており、周囲でも家族内での問題が知られていたとされています。事件が発覚した際、社会的にも大きな反響を呼び、子どもたちを守るための支援体制や虐待防止に関する議論が盛んになりました。

映画はこの事件にインスパイアされており、登場する母親も物語の中で類似の虐待行為を行います。映画の中で描かれる母親は、精神的に不安定であり、感情の制御がうまくできない状態に陥っています。物語が進むにつれて、彼女の行動が徐々にエスカレートし、最終的には子どもを傷つけてしまう悲劇的な結末に至ります。

このように、現実の事件を元にしたストーリーは、虐待がもたらす心の闇と、その結果として生じる悲劇を強調し、観る者に強い衝撃を与えるものとなっています。

映画『佇むモンスター』は新潟でロケをした?

『佇むモンスター』の撮影は、新潟県の胎内市で行われたことが知られています。監督の北田直俊さんが自らSNSでロケ地について言及しており、新潟の地域を舞台に物語を描き出すために、現地での撮影が行われました。胎内市は豊かな自然や、歴史的な建物が残る風景が多く、映画の不気味で静かな雰囲気にぴったりの場所とされています。特に、映画の中で登場する古びた建物や荒れ果てた施設などは、観客に恐怖と緊張感を与えるために重要な役割を果たしています。

また、胎内市でのロケは、物語の舞台設定にも影響を与えました。ロケ地となった場所の特有の雰囲気が作品にリアリティを加え、登場人物が置かれた孤独や閉鎖的な環境を強調しています。新潟での撮影は、地域の自然と映画の恐怖感が巧妙に融合し、物語の背景に深みを与えています。

こうしたリアルなロケーションの選択によって、観客は実際にその場にいるかのような臨場感を味わいながら物語に引き込まれていきます。

映画『佇むモンスター』に出てくる母親について考察

映画『佇むモンスター』では、母親の梨子というキャラクターが物語の中で重要な役割を果たしています。彼女は娘である樹梨杏を虐待し、最終的には建物の屋上から突き落としてしまうという悲劇的な行動に出ます。しかし、物語の結末において、彼女の行方ははっきりとは描かれません。映画の最後に、虐待の犠牲となった子どもを守ろうとしていた主人公・賢治に母親が襲いかかるシーンが登場しますが、この場面は幻覚のようにも見えるため、母親が本当に生きているのか、あるいは賢治の精神的な不安からくる幻覚なのか、明確にはわからないままです。

梨子のキャラクターは、虐待を行った加害者でありながらも、その背後には自らが抱える心の闇が存在します。彼女がなぜそのような行動に及んだのかは具体的には明らかにされていませんが、映画の描写からは彼女が精神的に不安定で、感情を制御できない状態にあることが示唆されています。そのため、彼女の行動は衝動的なものであり、心の弱さが招いた悲劇とも言えます。このような母親像は、社会的に見られる虐待の一側面を象徴しており、観客にとっても理解しがたい恐怖の対象となっています。

映画が最後に梨子の姿を曖昧に描いたのは、観る者に彼女の存在をさらに不気味で恐ろしいものとして感じさせるための演出とも考えられます。彼女の最期が明確に示されないことで、彼女の存在が「モンスター」として永遠に物語の中に佇んでいるかのような余韻を残しているのです。

映画『佇むモンスター』のロケ地はどこ?

『佇むモンスター』の主なロケ地は、新潟県の胎内市です。監督の北田直俊さんがSNSで撮影地を明かしており、この静かな町の風景が映画の不気味で静寂な雰囲気にマッチしていることがわかります。胎内市は自然が豊かで、廃墟や荒れた建物などの撮影にも適した場所が多く、映画の中ではそのような場所が登場人物たちの孤独や不安を象徴する舞台として用いられています。

特に、映画で使用される建物や廃棄された施設などは、物語の舞台として観客に強い印象を与えます。このようなリアルなロケ地の選択は、映画に深い臨場感をもたらし、恐怖感を増幅させています。また、ロケ地としての胎内市は、映画の中で重要なシーンが展開される背景として、観る者に閉ざされた空間での緊張感や孤独感を感じさせます。胎内市での撮影は、映画の持つ暗いトーンを強調し、登場人物たちが逃れられない運命に追い詰められているような印象を与えることに成功しています。

このように、胎内市のロケ地は単なる背景としてではなく、物語の一部として機能し、登場人物の心情や恐怖を映し出す重要な役割を果たしているのです。

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