映画『脳男』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『脳男』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『脳男』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『脳男』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

一郎は、特別な能力を持つが、感情を持たない青年だった。彼は幼い頃から厳しく育てられ、論理的に「悪い人を裁く」ことだけを考えるようになっていた。そのため、犯罪者を容赦なく処分する存在となっていた。

一方、精神科医の鷲谷真梨子は、一郎がただの冷酷な殺人マシンではなく、心を持つ可能性があることに気づく。彼女は一郎に対して「あなたは人間なのよ」と語りかけ、彼の中に眠る感情を引き出そうとする。しかし、彼の信念は揺るがず、最後まで自分の「正義」を貫こうとする。

物語の終盤、一郎は連続爆破事件の黒幕である緑川を追い詰め、彼の計画を阻止する。その過程で一郎は負傷するが、最後まで自分の使命を遂行する。しかし、彼はそのまま姿を消し、誰にも見つからないように去っていく。

ラストシーンでは、真梨子の携帯に一郎からの電話が入る。彼は「先生の過ちを見過ごすことはできませんでした」と言い残し、再び姿を消す。この言葉は、彼が自分なりの正義を貫きながらも、真梨子の言葉に影響を受けたことを示している。物語は、一郎が完全に冷酷な存在ではなく、少しずつ人間らしさを持ち始めていることをほのめかしながら幕を閉じる。

映画『脳男』の考察・解説(ネタバレ)

映画『脳男』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『脳男』が「ひどい」と言われる理由は?

本作が「ひどい」と言われる理由の多くは、映画の内容が悪いというよりも、描かれているシーンが非常に残酷でショッキングだからである。特に序盤のバス爆破テロのシーンは、観客に強い衝撃を与えた。

このシーンでは、口を塞がれた女性がバスに乗り込むが、実は彼女の体には爆弾が巻きつけられており、逃げる間もなく爆発が起こる。この爆発によってバスの乗客が巻き込まれ、多くの人が犠牲になってしまう。こうした過激な描写が、観る人によっては「ひどい」と感じられる原因になっている。

また、物語の中で次々と殺人が起こることや、登場人物が抱える過去が非常に暗く、救いのない展開が続くことも、本作に対して厳しい意見が出る理由のひとつと考えられる。しかし、物語自体はサスペンス要素が強く、主人公・一郎の存在や彼の感情の変化など、見どころも多い作品となっている。

映画『脳男』で志村はなぜ再犯を犯す?

志村(染谷将太)は、精神科医の鷲谷真梨子(松雪泰子)によるカウンセリングを受け、更生したかのように見えたが、実際には完全には治っていなかった。そのため、再び犯罪に手を染めてしまう。

彼は元々、暴力衝動を持っており、普通の人とは異なる価値観で生きていた。真梨子は彼の更生を信じ、治療を進めたが、根本的な部分での変化は起こらなかった。その結果、彼は再び人を傷つける行動を取ってしまう。

この展開は、「人は本当に更生できるのか?」というテーマを深く考えさせる要素となっている。真梨子は治療を信じていたが、それが必ずしも成功するわけではないという現実を突きつけられる形になった。志村の再犯は、彼自身の問題だけでなく、社会や医療の限界をも示唆している。

映画『脳男』に続編はある?

映画『脳男』には続編は制作されていない。しかし、原作となった小説には『脳男』に続く2本の続編が存在する。

原作小説『脳男』(首藤瓜於)は、ミステリー作品として高く評価され、続編として『脳男II 造神』(2012年)、『脳男III 警鐘』(2023年)が刊行されている。これらの作品では、一郎のその後や、さらなる事件が描かれている。

映画版では、一郎のキャラクターやストーリーがある程度完結しているため、続編が作られる可能性は低いと考えられる。しかし、原作の続編を基にした新たな映画が制作される可能性はゼロではない。特に近年、続編やスピンオフ作品が増えている傾向にあるため、今後の展開に期待するファンも多い。

映画『脳男』の最後のシーンの意味とは?

ラストシーンでは、精神科医の鷲谷真梨子(松雪泰子)の携帯に、一郎(生田斗真)から電話が入る。一郎は「先生の過ちを見過ごすことはできませんでした」と言い残し、姿を消してしまう。この言葉の意味は、彼がこれまでの経験を通じて、自分なりの正義を貫こうとしていることを示している。

一郎はもともと感情を持たない「殺人マシン」のような存在だった。しかし、真梨子との関わりを通じて「善とは何か」「人間の感情とは何か」を学び、少しずつ変化していった。彼女が彼のために涙を流したことで、一郎は初めて「自分の存在を気にかけてくれる人がいる」と感じたのかもしれない。そのため、最後の言葉には彼なりの感謝の気持ちが込められていたと考えられる。

ただし、一郎が完全に人間らしい感情を手に入れたわけではなく、彼の正義は依然として冷徹なものだった。そのため、彼は社会の「間違い」を正すために、独自の行動を続けることを選び、誰にも知られずに去っていく。この終わり方は、彼が完全な悪でも完全な善でもなく、どちらにも属さない存在であることを強調している。

映画『脳男』にグロいシーンはある?

本作には、ショッキングなシーンやグロテスクな描写がいくつか含まれている。その中でも特に衝撃的なのが、序盤のバス爆破テロのシーンである。

このシーンでは、舌を切断された女性が体に爆弾を巻かれた状態でバスに乗り込み、爆発が起こる。その結果、乗客は巻き込まれ、大勢の犠牲者が出る。この場面は視覚的にも衝撃が強く、多くの観客に強烈な印象を残した。

また、犯人である緑川(江口洋介)による拷問や殺人シーンもグロテスクな要素が強い。人を痛めつける描写や流血シーンが多いため、残虐なシーンが苦手な人には刺激が強い作品となっている。

一方で、そうした暴力描写が物語の緊張感を高め、サスペンスとしての魅力を引き立てているとも言える。残酷なシーンがあるからこそ、主人公・一郎の行動や彼の倫理観がより際立つ仕掛けになっている。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『シネマヴィスタ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『MIHOシネマ』の編集長も兼任しています。

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