映画『記憶屋 あなたを忘れない』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『記憶屋 あなたを忘れない』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『記憶屋 あなたを忘れない』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

遼一は、恋人・京子が突然自分のことを忘れてしまった理由を探し続けるうちに、「記憶屋」と呼ばれる存在が人の記憶を消していることを知る。そして、その正体が幼馴染の真希であることに気づく。

真希は幼い頃から遼一を想っていたが、彼が京子と交際していることを知り、無意識のうちに京子の記憶を消してしまったことが明らかになる。自分の力が人を傷つけてしまったことを後悔した真希は、最後に遼一の記憶を消すことを決意する。

ラストシーンでは、京子が働く喫茶店に遼一が笑顔で入っていく。京子の記憶が戻ったのか、それとも新たな関係を築くことになったのかは明言されないが、遼一は過去を乗り越え、前へ進もうとしていることが示される。

一方、真希のその後は描かれず、彼女が自らの存在を遼一の記憶から消し、彼の幸せを願って去ったことが暗示されている。遼一にとって大切な人が戻った一方で、彼はもう一人の大切な人を失うことになり、切なくも前向きな結末となっている。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』の考察・解説(ネタバレ)

映画『記憶屋 あなたを忘れない』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』が「ひどい」と言われる理由は?

本作が「ひどい」と言われる理由の一つは、原作と映画の作風の違いである。原作はホラー要素を含んだミステリー小説として書かれているが、映画では感動を重視した泣けるラブストーリーとして作られた。この改変により、原作ファンからは「全く別の作品になってしまった」と不満の声が上がった。

また、映画版では「記憶を消す」というテーマが深く掘り下げられず、ストーリーの展開が都合よく進む部分があると指摘されている。特に、キャラクターの行動に対する心理描写が浅く、物語の説得力が弱いと感じる人も多かった。

さらに、映画全体の雰囲気が「感動を狙いすぎている」と感じられる点も批判の対象となった。ホラー要素を期待していた観客にとっては拍子抜けし、純粋な恋愛映画としても「物語に深みがない」と評価されることがあったため、賛否が分かれる作品となった。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』でヒロインの真希はなぜ「ひどい」と言われるのか

真希(芳根京子)が「ひどい」と言われる理由は、彼女が「記憶屋」として遼一(山田涼介)の恋人・京子(蓮佛美沙子)の記憶を消してしまったからである。

真希は、幼い頃から遼一に想いを寄せていたが、遼一は京子と交際していた。京子は遼一と結婚の約束をするほど深い関係だったが、ある日突然、遼一のことだけを忘れてしまう。この原因は、実は真希が「記憶屋」の力を無意識に使い、京子の記憶を消してしまったためだった。

結果的に、遼一は苦しみ、京子も自分がなぜ遼一のことを忘れてしまったのか分からず戸惑うことになる。真希は悪意があったわけではないが、自分の恋心のために他人の記憶を消してしまう行為が「ひどい」と感じられる要因となっている。また、彼女の行動が物語の核心に関わるにもかかわらず、映画の中では十分な葛藤や謝罪が描かれていないことも、観客の反感を買う理由の一つである。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』の最後のシーンの意味とは?

ラストシーンでは、遼一が笑顔で京子のいる喫茶店に入っていく場面が描かれる。このシーンの意味は、真希が遼一の記憶を消し、京子の記憶を元に戻したことを示唆している。

真希は、自分が遼一のことを好きだったがために京子の記憶を消してしまったことを後悔し、最後に遼一から自分の記憶を消す決断をする。そして、京子の記憶を取り戻し、遼一と京子が再び出会えるようにする。

このラストは、遼一が過去の傷を乗り越え、新たな一歩を踏み出すことを示している。京子の記憶が完全に戻ったのか、それとも新たな関係として始めるのかは明確に描かれていないが、少なくとも遼一は幸せな未来へ向かおうとしていることが分かる。

真希自身の記憶がどうなったのかは描かれず、彼女の存在が遼一の人生から消えたのかどうかは観客の解釈に委ねられている。感動的なラストではあるが、真希の立場を考えると切ない結末とも言える。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』と原作との違いは?

映画版と原作ではいくつかの重要な違いがある。その一つが、ヒロイン・真希の幼少期の設定である。原作では、真希の記憶に関するトラウマは「両親が浮気をしていたこと」であり、それが彼女の能力に関係しているとされている。しかし、映画版ではこの設定が変更され、真希は幼い頃に幼女誘拐犯に誘拐された過去を持つことになっている。この変更により、映画では真希の能力の背景がよりドラマチックに描かれることとなった。

また、原作では京子は遼一にとって「憧れの存在」であり、二人の関係はそこまで深くない。しかし、映画版では二人は将来を誓い合った恋人同士として描かれ、よりロマンティックな設定に変更されている。これにより、遼一の絶望感や京子を取り戻したいという思いが、より強調される展開となっている。

さらに、原作では記憶屋の存在がより神秘的であり、ホラー要素が強く描かれているのに対し、映画版では記憶を消す力が「人のために使われるべきもの」として、感動的な要素が強調されている。この変更が、原作ファンの間で賛否を分ける要因となった。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』の、記憶屋の正体は誰?

本作に登場する「記憶屋」の正体は、主人公・遼一の幼馴染であるヒロイン・真希である。彼女は無意識のうちに人の記憶を消す能力を持っており、それが物語の中心となる。

真希は幼い頃から遼一に恋心を抱いていたが、彼が京子と交際していることを知り、複雑な感情を抱くようになる。そして、彼女の能力が発動し、京子の中から遼一に関する記憶が消えてしまう。この出来事が物語の大きな転機となり、遼一は京子がなぜ自分を忘れたのかを探ることになる。

最終的に真希は自分の能力を理解し、それを使って遼一の記憶を消すことで彼を解放する。彼女は「記憶を消すことが誰かの幸せにつながることもある」と考え、自らの存在を遼一の人生から消す決断をする。この選択が、物語を感動的な結末へと導く要因となっている。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』は大コケした?

興行収入4.6億円を記録した本作は、成功とは言えないものの、大コケとまでは言えない成績である。製作規模を考えると、期待されたほどのヒットにはならなかったが、一定の観客層には受け入れられた。

ただし、主演の山田涼介が出演した他の映画の影響で「大コケ」という印象が強まった可能性がある。山田涼介は本作の後に『大怪獣のあとしまつ』『鋼の錬金術師』などの映画に主演し、それらが興行的に不振だったため、「山田涼介主演映画=コケる」というイメージが定着してしまった。

また、映画のジャンル変更が観客の期待を裏切ったことも、伸び悩んだ原因の一つと考えられる。原作ファンはミステリーやホラー要素を期待していたが、映画は感動系のストーリーに仕上げられており、ターゲット層が分散してしまった。こうした要素が重なり、本作は話題にはなったものの、大ヒットには至らなかった。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『シネマヴィスタ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『MIHOシネマ』の編集長も兼任しています。

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