映画『糸(2020)』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『糸(2020)』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

映画『糸(2020)』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『糸(2020)』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『糸』の最後の結末では、高橋漣(たかはし れん)と園田葵(そのだ あおい)が再び出会い、ようやく幸せな結婚式を迎える場面が描かれます。漣と葵は、若いころに出会って恋をしますが、その後それぞれの事情で離ればなれになってしまいます。何度もすれ違いながらも、二人はお互いを忘れず、それぞれの人生を歩んでいきます。

葵は、異国で新しい生活を始めたり、漣もまた別の人と結婚して家庭を築いたりしますが、運命のようにまた二人は再び出会います。そして、最終的には二人ともたくさんの出来事を乗り越えて、もう一度一緒になることを決意します。この結婚式のシーンでは、二人が長い時間をかけて「糸」のように互いに引き寄せられて結ばれたことがわかり、観ている人にも二人の絆の強さが伝わってきます。

結婚式では、二人は特に言葉を交わさず、静かに微笑み合いながらお互いを見つめ合うだけですが、その表情から幸せな気持ちがあふれていることがわかります。たくさんの人が見守る中で、ようやくお互いの存在が「運命」だったことを実感し、人生のパートナーとして歩んでいくことを誓うのです。映画は、そんな二人の幸せな瞬間で幕を閉じます。

この結末は、二人の人生が何度も絡み合い、切れてもまた繋がる「糸」のように描かれており、観ている人に「人と人との出会いは運命的なもの」というメッセージを伝えています。

映画『糸(2020)』の考察・解説(ネタバレ)

映画『糸(2020)』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『糸(2020)』で、玲子の裏切り理由は何だったのか?

映画『糸』において、玲子は葵の友人でありながら、ある事件をきっかけに裏切りを働きます。玲子が葵を裏切り、会社の資金を横領した理由には、彼女の過去や複雑な家庭環境が関係していると考えられます。玲子は表向きには成功したキャリアウーマンのように見えますが、心の中では幼少期からの孤独感や、家庭環境からくるトラウマを抱えていました。そのため、彼女は自分がもっと豊かになり、誰にも依存しない強い存在になりたいという強い願望を持っていたのです。この願望が、ついには友人である葵を裏切ってまでお金を手に入れたいという欲望に繋がってしまいました。

玲子の行動は、葵に対する裏切りだけでなく、彼女自身の孤独や不安からくるものであり、深い内面的な葛藤が隠されています。彼女は葵に嫉妬していた部分もあり、葵がどんなに困難な状況でも前向きに生きていく姿が、自分の不安定さと対照的に映ってしまっていました。そうした心の葛藤が募る中で、玲子は葵に対して妬ましさや距離を感じるようになり、それが横領という形で現れることになったのです。このように、玲子の裏切りには彼女自身の心の痛みや、家庭環境から生まれた自己防衛的な感情が大きく影響しているといえるでしょう。

映画『糸(2020)』はなぜ「気持ち悪い」と言われるの?

映画『糸』が一部の観客から「気持ち悪い」と言われる理由には、物語が無理に「糸」の歌詞に寄せられていると感じられる部分があるからです。映画のストーリーは、中島みゆきの名曲「糸」の歌詞に合わせて展開されており、歌詞が示す運命や出会い、すれ違いといったテーマに基づいて、登場人物たちが行き交う場面が多く描かれています。しかし、これが逆に「偶然の重なりが不自然」と感じられる要素にもなり、観客の中には「ストーリーが無理に展開されているように見える」という意見もあります。

さらに、「糸」の歌詞に合わせて物語を作ることで、登場人物たちの行動や関係性が作為的に見えてしまう部分もあります。特に、偶然のタイミングや運命的な再会が多く盛り込まれているため、現実感に欠けるという印象を持つ観客もいました。そのため、「糸」の歌詞に忠実であろうとする演出が、観る人によっては違和感や不快感を与えてしまう要因となっているのです。しかし、その一方で、歌詞に寄り添いながらもドラマチックに展開する物語を楽しむ視聴者も多く、映画は賛否が分かれる作品となっています。

映画『糸(2020)』に気まずいシーンはあるか?

映画『糸』には、気まずく感じるような濃厚なラブシーンや激しい描写は含まれていません。物語は、主に主人公たちの人生のすれ違いや運命の交錯を中心に描かれているため、恋愛シーンにおいても控えめであり、軽いキスシーン程度の表現に留まっています。このため、家族や友人と観ても気まずく感じる場面は少なく、安心して観ることができる映画です。

映画のテーマが「運命の糸」を描くものであるため、登場人物たちの絆や愛情の深さが描かれてはいるものの、その表現は抑制されており、情熱的なシーンよりも切ない別れや再会の方が印象的です。これは、登場人物の感情が内面的に表現され、視覚的な刺激を重視しないストーリー構成となっているためです。また、人生の苦しみや成長を通して彼らのつながりが描かれるため、全体的に穏やかな雰囲気が漂っています。

映画『糸(2020)』に出てくるかおりが可哀想と言われる理由は?

映画『糸』で登場する桐野香(かおり)は、多くの観客から「可哀想」と感じられるキャラクターの一人です。香は物語の中で、高橋漣(れん)と結婚し、幸せな家庭を築くことを夢見ていました。しかし、妊娠中に腫瘍が見つかり、出産と病気の治療の間で困難な決断を迫られます。結果的に、彼女は子どもを産むことを選びますが、出産後に病気が進行し、ついには亡くなってしまいます。

香の物語は、出産という大きな喜びと、自身の命の危険という二つの相反する出来事が重なり合い、観る者に深い悲しみを感じさせます。彼女の選択には、母として子どもを守りたいという強い思いがあり、香はその愛情を貫きました。しかし、その結果として、自身は命を落とし、家族と離れ離れになってしまいます。このような悲しい結末から、彼女が「可哀想」と感じられるのです。

また、香の物語は、愛する人を守るために犠牲を払う姿を描いており、多くの人々にとって心に残るキャラクターとなっています。香の人生は短くても、愛情に満ちたものであり、彼女の選択とその結末は、観客に感動を与えますが、同時に深い悲しみも感じさせるため、観る者にとって印象深いシーンとなっています。

映画『糸(2020)』に出てくる子役は誰?

映画『糸』では、高橋漣と園田葵の若い頃を描くために、それぞれのキャラクターの中学時代を演じる子役が登場します。高橋漣の中学時代を演じたのは南出凌嘉(みなみで りょうか)で、園田葵の中学時代を演じたのは植原星空(うえばら せいら)です。彼らの出演によって、漣と葵の純粋でまだ未熟な時代の姿が描かれ、二人の関係がどのように始まったのかが観客に伝わります。

南出凌嘉は、映画やドラマでの経験が豊富で、自然な演技で中学生時代の漣を演じています。植原星空も、葵の純粋さや無邪気さを表現することに成功しており、観客に二人の幼い頃の愛らしさと切なさを感じさせる存在感を持っています。この二人の若い頃のシーンは、物語の後半で再び二人が再会するシーンへの伏線にもなっており、二人の絆の深さを際立たせています。

彼らの演技が加わることで、漣と葵の関係がどのようにして始まり、そしてどれほど強く影響を与え合ってきたのかが明確に描かれます。子役たちの存在が、物語全体に奥行きをもたらし、観客に二人の運命の繋がりを感じさせる重要な役割を果たしています。

映画『糸(2020)』はなぜもやもやするのか?

『糸』が「もやもやする」と感じられる理由には、ストーリーが名曲「糸」の歌詞に合わせて無理に展開している印象があるためです。映画は、歌詞の内容に基づいて登場人物たちの人生のすれ違いや再会が描かれていますが、この構成が観客にとっては「過剰に偶然を強調しすぎている」と感じられることもあります。登場人物たちが運命的に何度も出会うシーンが多く、その分リアリティが欠けているように感じてしまう観客もいるため、自然な感情移入が難しいのです。

また、物語の展開が歌詞に引っ張られる形で進行するため、登場人物たちの行動や感情の変化が少し強引に感じられる部分もあります。こうした「運命」に過剰に依存した展開は、現実感が薄れる原因となり、観客が違和感を覚えやすくなるのです。さらに、終盤での展開や再会もあまりにも偶然に頼りすぎているため、観客がスムーズに物語に引き込まれるのが難しくなっている部分もあります。

このように、登場人物たちの行動や物語の流れが少し強引に感じられるため、「もやもやする」と感じる観客が出てくるのです。

映画『糸(2020)』で香を演じた榮倉奈々は本当に病気?

映画『糸』で桐野香(かおり)を演じた榮倉奈々の見た目が非常に痩せていたため、一部の観客の間では「本当に病気なのではないか」と心配されることがありました。香は物語の中で難しい決断を迫られ、出産後に病気で亡くなるという役柄です。このため、役作りの一環として榮倉奈々が体重を落として痩せた姿で撮影に臨んでいたのです。

榮倉奈々はこの役柄を演じるにあたり、香が持つ儚さや弱さを表現するために、かなり痩せた姿で役に挑みましたが、実際に体調を崩していたわけではありません。榮倉奈々自身も、映画のために役柄に合わせて外見を作り上げる努力をしており、その結果として香の繊細さや苦しみが観客に伝わるようになっています。彼女の演技によって香の苦悩や切ない選択が際立ち、観客に深い感動を与えました。

香のキャラクターが抱える病気や彼女の最期のシーンのインパクトが強かったために、観客からは榮倉奈々自身の体調を心配する声が上がったのも無理はありません。しかし、榮倉奈々が撮影に臨む姿勢や演技力の高さが、役柄をよりリアルに感じさせ、作品に深みを与えています。

映画『糸(2020)』の結婚式のラストシーンについて

映画『糸』のラストシーンでは、高橋漣(れん)と園田葵(あおい)の結婚式が描かれ、物語の終わりを迎えます。このシーンは、二人が数々の困難を乗り越え、ようやく互いのもとへたどり着いたことを象徴しています。結婚式の場面にはセリフがほとんどなく、二人の表情や周囲の温かい雰囲気が、彼らの幸せな気持ちを伝えています。観客にとっても感動的なシーンであり、長い時間を経て再び結ばれた二人の絆が伝わってきます。

この結婚式は、偶然や運命が絡み合う人生の中で、ようやく巡り合えた二人の幸せを祝福する場面です。歌「糸」の歌詞に込められた「出会うべくして出会う」というメッセージが、二人の結婚式のシーンで感動的に表現されています。また、このラストシーンには、多くのキャラクターが二人の幸せを見守る姿も映し出され、二人だけでなく、周りの人々の温かいサポートや愛情も感じられる演出がされています。

ラストシーンで描かれる二人の結婚式は、言葉で多くを語ることなく、視覚的にその幸せが伝わってくるような美しい締めくくりとなっています。このシーンによって、長い時間をかけて紡がれてきた「運命の糸」が結ばれ、物語が感動的な結末を迎えるのです。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『シネマヴィスタ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『MIHOシネマ』の編集長も兼任しています。

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