この記事では、映画『ラブリーボーン』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。
映画『ラブリーボーン』の結末・ラスト(ネタバレ)
映画『ラブリーボーン』の結末では、主人公スージー(演:シアーシャ・ローナン)が、自分を殺した犯人ジョージ・ハーヴィ(演:スタンリー・トゥッチ)に裁きが下るのを見届け、家族が再生していく様子を見守る形で物語が締めくくられます。
スージーは殺されてしまった後、現実の世界と「中間の世界」の間に留まります。彼女はそこで、家族や友人、犯人の行動を見守りながら、自分がこの世界から完全に去るための心の整理をします。犯人ジョージ・ハーヴィは、警察やスージーの家族の執念深い調査によって追い詰められますが、逃亡を続けます。最終的に、山間部で休んでいた際に木の上のツララが首元に落ち、それに驚いてバランスを崩し崖から転落して命を落とします。
一方、スージーの家族は彼女の死によって大きな傷を負いますが、やがてそれぞれがスージーの死を乗り越え、少しずつ前を向いていきます。父親は犯人を追い詰める中で家族への愛情を再認識し、母親も再び家庭に戻り、家族としての絆を取り戻していきます。スージーは、自分の死が無駄ではなかったと感じながら、現実の世界を離れる決断をします。
物語のラストシーンでは、スージーが自分を殺した犯人に対する怒りや悲しみを超え、家族が新たな未来へ歩み出すのを見届けながら「私の物語は終わらない」という言葉を残して天国へと旅立ちます。この結末は、悲しみの中にも希望と再生があることを示しており、観客に深い余韻を与える形で締めくくられています。
映画『ラブリーボーン』の考察・解説(ネタバレ)
映画『ラブリーボーン』で主人公の殺され方は原作とは異なる?
映画『ラブリーボーン』で主人公スージー・サーモン(演:シアーシャ・ローナン)が殺される場面は、原作と映画で異なる描写がされています。原作では、スージーは犯人ジョージ・ハーヴィ(演:スタンリー・トゥッチ)にレイプされた後、殺害されたことを自ら告白しています。この残酷な描写は、彼女の無念さや悲劇をより強く観客に伝えるために描かれています。
一方で、映画ではスージーの殺害シーンは直接的に描かれていません。ジョージ・ハーヴィが彼女を地下室に誘い込む場面があるものの、実際にどのように殺害されたのかは具体的に示されず、暗示的に描かれるにとどまっています。これは、視覚的な衝撃を抑えることで観客への心理的な影響を軽減し、物語のテーマであるスージーの死後の世界や家族の再生に焦点を当てる意図があると考えられます。
この違いにより、映画版は原作よりもスージーの死に関する描写が抑えられており、観客がスージーの視点で物語の展開を見守ることに集中しやすくなっています。それぞれの表現方法には目的があり、原作はより生々しい現実を描く一方、映画は視覚的なメディアとしての特性を活かした物語の構築を目指しています。
映画『ラブリーボーン』で犯人は最後どうなった?
映画『ラブリーボーン』のラストで、犯人ジョージ・ハーヴィ(演:スタンリー・トゥッチ)は、自身が行った数々の罪の報いを受ける形で死を迎えます。彼はスージーを含む複数の少女を手にかけた連続殺人犯であり、最後までその罪を隠そうとします。しかし、彼の運命は偶然によって断ち切られることになります。
ジョージは逃亡中に山間部に立ち寄り、雪に覆われた環境の中で休息を取っていました。その際、彼の頭上にあった木にできていたツララが折れ、首元に落ちてきます。この冷たさに驚いたジョージはバランスを崩し、足を滑らせて崖から転落してしまいます。彼はそのまま崖下に落ち、命を落とします。この死は、彼の行いに対する因果応報であり、スージーや他の被害者たちの無念が晴らされる形となります。
ジョージの死により、スージーの家族や彼女自身にとって一つの区切りが訪れますが、彼の死が直接的な復讐ではない点が、物語のメッセージ性を強調しています。この展開は、暴力的な解決を避けつつも、犯人に罰が与えられるカタルシスを観客に提供しています。
映画『ラブリーボーン』は怖い映画なのか?
映画『ラブリーボーン』は、ホラー映画のような恐怖感を与える作品ではありませんが、犯人ジョージ・ハーヴィの描写や彼が犯した犯罪の暗示的な描写によって、不気味さや心理的な恐怖を感じる場面が多くあります。特に、ジョージがスージーを誘い込むシーンは、観客に強い緊張感を与え、彼の異常性が際立っています。
映画は直接的な殺害シーンを描いていないものの、スージーの死後の世界と現実の家族の苦しみが交錯する描写が独特の雰囲気を作り出しています。ジョージの冷酷さや周囲に溶け込む巧妙さは、観客に現実世界にも存在しそうな恐怖を感じさせる要因となっています。
また、映画のテーマには家族の悲しみや喪失感、そしてスージーが見守る中での再生が含まれており、これが物語全体のバランスを取っています。つまり、本作は純粋なスリラーやホラーではなく、サスペンスとファンタジーが混ざった独特の作品です。不気味で怖い部分もありますが、同時に希望や癒しの要素が含まれており、一概に「怖い映画」とは言い切れません。
映画『ラブリーボーン』のタイトルの意味は?
映画『ラブリーボーン』のタイトル「The Lovely Bones」は、直訳すると「愛しき骨」という意味になりますが、その言葉が象徴するものは単なる遺体や死体の骨だけではありません。このタイトルは、物語の中で主人公スージー(演:シアーシャ・ローナン)が語る重要なメッセージと深く結びついています。
スージーが殺され、その死が家族や周囲の人々に与える影響は大きく、彼らの間には新しい絆やつながりが生まれます。この「骨」とは、スージーが物理的にはいなくなった後も、彼女の存在が残した「基盤」や「土台」を象徴しているのです。それは、家族が悲しみを乗り越え、互いに再び寄り添いながら新しい形の家族として再生していく過程を指しています。
また、スージーの死によって明るみに出た真実や、それをきっかけに築かれる関係性、彼女の死後の世界からの視点で見守られる愛情や希望なども、タイトルに込められた意味に含まれます。この「Lovely」という形容詞は、悲劇的な状況の中にも、愛や癒し、再生といった美しい要素が存在することを強調していると言えます。
このように、タイトルは物語のテーマを象徴的に表現しており、単なる悲劇を超えて、生と死の狭間で起こる希望と愛の物語を示しています。
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