映画『ロブスター』のネタバレ考察・解説

映画のネタバレ考察

この記事では、映画『ロブスター』の結末・ラストをネタバレありで解説し、この映画に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。

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映画『ロブスター』の結末・ラスト(ネタバレ)

映画『ロブスター』の結末ラストをネタバレありで解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『ロブスター』の結末は、デイビッドと彼の恋人(失明した女性)の逃避行が焦点となります。映画全体は、独身者が一定期間内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられてしまうというディストピア的な世界を描いています。デイビッドもそのシステムに従って、パートナーを見つけなければならない状況に置かれますが、最終的にはホテルを逃げ出し、森に住む「ロンナーズ」という独身者の集団に加わります。

この森で、デイビッドは彼と同じように近視の特徴を持つ女性と恋に落ちます。しかし、森のリーダー(独身者の規律を厳守する女性)は、デイビッドと彼女が恋愛していることに気づき、彼らを罰するため、女性の視力を奪って失明させます。視力を失ったことで、デイビッドと彼女はもはや「共通点」を持たないことになり、彼らの関係は危機に陥ります。映画の世界では、カップルは何らかの共通の特徴を持つことが求められているからです。

物語の結末では、デイビッドと失明した彼女が街へ逃げます。彼女はデイビッドと同じ特徴を持つために彼が何をするのかを心配し、彼らの関係が続けられるかどうかに不安を抱きます。レストランに着いたデイビッドは、トイレに入りナイフを手にします。彼は自分の目を刺し、彼女と同じく失明しようとしますが、映画は彼が実際に自分を傷つけたかどうかは示されません。観客には、デイビッドが目を刺して彼女と同じ「特徴」を共有するか、それとも彼女を裏切るかを想像する余地が残されています。

この結末は、愛や共通点が必ずしも本当の絆を築くための条件ではないというテーマを強調しています。デイビッドが本当に彼女を愛しているのか、または単にこの社会のルールに従おうとしているのかは明確にはされていません。彼の選択が何であれ、映画はその答えを示すことなく終わり、観客に深い思考を促します。

映画『ロブスター』のラストは、恋愛やパートナーシップにおける社会的なプレッシャーや強制された規範についての風刺的なメッセージを含んでおり、観る者に対して多くの疑問を投げかけます。
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映画『ロブスター』の考察・解説(ネタバレ)

映画『ロブスター』に関する疑問や謎を分かりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレが書かれているためご注意ください。

映画『ロブスター』のメイドの衝撃の行動とは?

映画『ロブスター』でメイドの女性が取った衝撃的な行動の一つは、主人公デイビッドを誘惑するための性的な挑発です。この行動は、物語の舞台となるホテルでの独特なルールと環境に関連しています。このホテルでは、シングルの人々がカップルになれなければ動物に変えられるという極端な社会規範が支配しており、その中でメイドは単なる従業員ではなく、シングルの宿泊者たちの状況を観察し、ホテルのルールに従わせる役割を担っています。

メイドの女性は、デイビッドが感情を表に出さないことを試すため、ホテルの指示で彼を誘惑しようとします。具体的には、彼女はデイビッドの目の前で性的な挑発を行い、彼がどう反応するかを見ています。この行動は単なる誘惑の場面を超えて、ホテルの支配者たちがシングルの人々に対して行っている不気味な実験の一環であり、彼らの感情や欲望を試す行為として描かれています。

デイビッドにとって、この誘惑は試練であり、彼は感情を抑えることに成功しますが、この行動そのものが観客にとって非常に不安を抱かせる場面となっています。メイドは冷徹で無感情な態度を見せており、その行動はホテルの非人道的な規則とシングルの人々に対する抑圧を象徴しています。

この衝撃的な行動は、映画の全体的なテーマである社会的圧力や恋愛の規範に従うことへの風刺を強調し、観客に強い印象を与えるシーンです。
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映画『ロブスター』では犬が数々死ぬって本当?

映画『ロブスター』では、動物の死が描かれるシーンがありますが、特に重要なシーンとして描かれるのがデイビッドの兄弟にまつわるエピソードです。デイビッドの兄弟は、かつては人間でしたが、ホテルでパートナーを見つけることができなかったため、犬に変えられてしまいます。映画の冒頭で、デイビッドはこの犬(彼の兄弟)と一緒に行動しており、彼に対して特別な愛情を抱いていることが示されています。

しかし、物語が進む中で、デイビッドは感情のない女性「冷酷な女」と仮のカップル関係を結ぶことになります。彼女は情け容赦ない性格で、デイビッドの兄弟である犬を無情にも殺してしまいます。このシーンは非常にショッキングで、デイビッドの兄弟として描かれていた犬が無残に殺されることにより、デイビッドの心に大きな衝撃を与えます。

他の動物たちも映画の設定の中で、人間がパートナーを見つけられなかった場合に動物に変えられるというルールのもと、間接的に死や変化に直面していることが暗示されています。この設定自体が不安感を呼び起こし、観客にとってショックを与える要素となっています。

映画の動物の死は、映画全体のテーマである人間関係や社会の圧力に対する風刺的な描写の一部であり、特にデイビッドの兄弟の死は彼にとって感情的な転換点をもたらす重要なシーンとして描かれています。
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映画『ロブスター』の冒頭でなぜ女はロバを撃った?

映画『ロブスター』の冒頭で、無言のまま車を降りた女性がロバを撃つシーンは、非常に衝撃的で観客に強い印象を残します。このシーンは、その後の物語全体を暗示し、映画のテーマを象徴する重要な瞬間です。

このロバは、実はかつて人間であった可能性があります。映画の設定では、パートナーを見つけることができない人間は動物に変えられてしまうというルールがあり、その動物がどのような運命を辿るのかもわかりません。この冒頭のシーンでは、そのルールによって動物に変えられた元人間がロバである可能性が示唆されています。女性がそのロバを撃った理由は、彼女がこのシステムに対する復讐心や憎悪を持っているためであるとも考えられます。

このシーンは、物語全体における人間関係の無情さや、社会的な圧力に対する風刺を強く表現しています。人間が動物に変えられるというシステムそのものが、個々の自由や選択を奪い取るものとして描かれており、ロバを撃つという行動は、この不条理な社会規範に対する抵抗や無意味さを象徴しています。

また、映画全体を通して、愛や関係性が強制される世界において、感情や共感が失われていることを示しています。この冒頭のシーンは、観客に強いインパクトを与えるとともに、映画の独特な世界観を一瞬で示す効果を持っています。
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映画『ロブスター』のリーダーの女はどんな人物?

映画『ロブスター』に登場するリーダーの女性は、独身者たちが集まる森のグループ「ロンナーズ」の指導者であり、彼女は映画全体で非常に重要な役割を果たします。このリーダーは、独特な規律と哲学を持ち、社会における強制的なパートナーシップに対する反対を象徴しています。

彼女は、パートナーを持たずに生きることを推奨し、「愛」や「結婚」といった概念を否定しています。彼女のグループ「ロンナーズ」では、メンバーが恋愛をしたり、感情的に誰かと結びつくことが厳しく禁止されています。リーダーは、自分のルールを厳格に守らせ、メンバーが少しでも感情を示すと厳しく罰するほど徹底しています。

リーダーの女性は冷静で計算高く、感情を一切表に出さない人物として描かれます。彼女は独立心が強く、自分の信念に絶対的な自信を持っていますが、その一方で感情を押し殺す生き方が、彼女自身の中で苦しみや葛藤を生んでいる可能性もあります。彼女はパートナーシップを否定しているものの、社会からのプレッシャーや愛に対する恐れが彼女の厳格な態度を形作っていることが暗示されています。

映画の後半では、リーダーがデイビッド(主人公)と失明した女との関係を発見し、彼らに対して強硬な態度を取るシーンが描かれます。彼女は、二人が愛し合っていることを知ると、すぐにその絆を引き裂くための手段を講じます。この行動は、彼女が「ロンナーズ」の規律を維持するために、どんな手段でも用いる冷酷な性格を象徴しています。

結局、リーダーの女性は独身者たちの自由を守ろうとしつつも、感情や愛情の否定によって、別の形の不自由や抑圧を作り出している複雑なキャラクターです。
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映画『ロブスター』で失明した女はロブスターになった?

映画『ロブスター』の終盤で、デイビッドの恋人である「失明した女」は、ロブスターにはなりません。映画の中でデイビッドは、ホテルで知り合ったこの女性と恋に落ち、彼女と共に逃げ出し、独身者の森で暮らし始めます。しかし、森のリーダーによって、彼女は失明させられてしまい、二人は同じ特徴(視力)を共有できなくなります。この出来事によって、二人の関係に亀裂が生じます。

映画のラストシーンでは、デイビッドと失明した女が一緒に街にやって来て、デイビッドがレストランのトイレに入ります。彼は自分の目を刺して視力を失おうとするかどうかで葛藤しています。なぜなら、この世界では、カップルは共通の特徴を持つことが求められており、デイビッドは彼女と同じ失明という特徴を共有することで、彼女との絆を保とうとしているからです。しかし、映画は彼が実際に目を刺すのか、最終的に彼女とどうなるのかをはっきりと描かず、観客にその結末を委ねています。

「失明した女」はロブスターにはならず、人間のままでいますが、彼女とデイビッドがこの世界でどのように生きていくかについての具体的な答えは示されません。映画のテーマとして、「愛とは何か?」や「共通点が関係にとって必要なのか?」といった問いが描かれており、失明した女はその問いに対する重要なキャラクターです。

結論として、失明した女はロブスターにはならず、人間として生き続けることが示されていますが、二人がどういう未来を選ぶのかは観客に委ねられています。

映画『ロブスター』の独身者狩りに含まれた意味とは何か?

映画『ロブスター』の「独身者狩り」とは、ホテルに宿泊しているシングルの人たちが、森に住む独身者(「ロンナーズ」)を捕まえるために行う儀式のような活動です。これは物語の中で非常に象徴的な要素であり、この独特な社会のルールや圧力を反映しています。

この独身者狩りのルールは、パートナーを見つけることができなかったシングルの人たちが、期限内に誰かとカップルにならなければ、動物に変えられるという設定に基づいています。彼らは、その期限を延ばすために独身者を狩り、捕まえた独身者の数に応じて延長の猶予が与えられます。これは、独身者を排除することでシステムに従わせようとする社会的な圧力を示唆しており、個々の自由や選択の抑圧を象徴しています。

独身者狩りが行われることで、パートナーを持つことが社会的に強制されている様子が強調され、社会から孤立した人々が排除される構造が浮かび上がります。また、シングルの人々が生き延びるために他の独身者を捕まえるという行為は、現実世界における競争社会や、恋愛市場における無意識の争いを風刺しているとも解釈できます。

さらに、この狩りの行為は、人々がパートナーを見つけることが重要視される一方で、感情や本物の愛が蔑ろにされているというテーマを暗示しています。映画の中では、ただ形式的にパートナーを持つことが奨励され、本物の感情やつながりが重視されていないことが示されています。この「独身者狩り」という行為自体が、人間関係の表面的な部分だけを評価し、深い絆や個々の選択を無視する社会を象徴しています。

独身者狩りは、映画のテーマである恋愛や人間関係に対する社会的プレッシャーを象徴的に表現し、その非情なルールを観客に強く印象付ける要素となっています。

映画『ロブスター』にグロいシーンはあるのか?

映画『ロブスター』には、観客に衝撃を与える「グロいシーン」がいくつかありますが、その中でも特に印象的なのは、デイビッドの兄弟である犬が殺されるシーンです。デイビッドの兄弟は、かつて人間だったが、パートナーを見つけられなかったために犬に変えられました。デイビッドにとって、この兄弟犬は非常に大切な存在です。しかし、冷酷な性格の「冷酷な女」が、デイビッドを試すために犬を無情に殺してしまいます。このシーンは視覚的に激しい描写は少ないものの、犬の死というテーマが観客に強い感情的なインパクトを与え、「グロさ」を感じさせます。

さらに、映画のクライマックスでデイビッドが恋人と同じ特徴を持つために自分の目を刺そうとするシーンも、非常にグロテスクなものです。デイビッドは、視力を失った恋人と同じ「失明」という特徴を共有するために、レストランのトイレでナイフを手にして自分の目を刺す準備をします。観客は、この場面で彼が実際に目を刺すかどうかを見ることはありませんが、彼の決断とその行動を想像するだけで、恐ろしい印象を受けます。このシーンもグロさを感じさせる瞬間です。

映画『ロブスター』は、全体的に暴力的なグロ描写が少ないですが、感情的な痛みや身体的な苦痛を通して「グロい」と感じさせるシーンがあります。これらのシーンは、映画が描く非情な社会システムや愛の抑圧というテーマを強調し、観客に強烈な感覚を与えます。

映画『ロブスター』が「つまらない」と言われる理由は何か?

映画『ロブスター』が「つまらない」と言われる理由の一つは、その独特な世界観とトーンにあります。この映画は、ディストピア的な社会を描き、パートナーを見つけられない独身者が動物に変えられるという奇妙な設定を持っていますが、この設定がシュールすぎると感じる観客もいます。ストーリー自体は重く、ユーモアもブラックであり、これが一般的な感覚の人には理解しにくく、受け入れがたいという意見があります。

また、登場人物たちが感情を極端に抑えた無表情な演技をしているため、観客は彼らに感情移入しにくく、映画の中で起こる出来事に対しても共感を抱きにくくなります。キャラクターたちが冷静かつ無感情に振る舞うことで、物語全体が無機質に見え、これが「退屈」「つまらない」と感じる要因となっています。特に、映画のテンポが非常にゆっくりで、大きな事件やアクションがほとんど起こらないため、展開が進まないように感じられ、映画に引き込まれることなく飽きてしまう人も多いです。

さらに、映画のメッセージやテーマが非常に抽象的で、観客に対して強い解釈力を求める部分も「つまらない」と感じられる理由の一つです。映画は、現代社会における恋愛やパートナーシップのプレッシャーに対する風刺を含んでいますが、そのメッセージは直接的に説明されることはなく、シンボルやメタファーに満ちています。これを深く考えないと、映画の内容が意味不明に感じられ、物語が進んでも結末に向かう方向性がつかめないという不満が生まれるのです。

そのため、感情表現の少なさやテンポの遅さ、さらには複雑なテーマが相まって、一部の観客には「つまらない」と感じられる作品となっています。

映画『ロブスター』でなぜ女はロバを撃った?ロバはなぜ逃げなかったのか?

映画『ロブスター』の冒頭で、女性が無言で車を降りてロバを撃つシーンがあります。このシーンは非常に象徴的で、映画全体のトーンを決定付ける場面ですが、なぜ女性がロバを撃ったのか、そしてロバが逃げなかった理由については観客に解釈が委ねられています。

このロバは、おそらくかつて人間だった可能性が高いです。映画の設定では、独身者が一定期間内にパートナーを見つけられなかった場合、動物に変えられるというルールが存在します。つまり、このロバも以前はパートナーを見つけられず、動物に変えられた元人間だったのかもしれません。女性がこのロバを撃った理由は、彼女がそのシステムに対して怒りや絶望を感じているからであり、動物に変えられた元人間に対する復讐や、無意味さを感じた結果の行動だと考えられます。

また、ロバが逃げなかった理由も、映画の世界観に基づいて解釈できます。動物に変えられた元人間は、もはや自分の意志や感情を持たず、完全にシステムに従わざるを得ない存在となっています。このロバもその一部であり、逃げるという本能的な行動を取ることができない状態にあると考えられます。もしくは、かつての人間としての意志や感情を失ってしまっているため、単に逃げることさえ思いつかないのかもしれません。

このシーンは、映画全体が描こうとする「個人の自由や感情を奪い、システムに従わせる社会」の象徴であり、ロバを撃つという行為は、その不条理さやシステムへの反発を視覚的に表現していると言えます。

映画『ロブスター』でデイビットが手錠で繋がれた理由とは?

映画『ロブスター』で、デイビッドが手錠で繋がれる場面は、ホテルの厳しいルールに従った罰の一環です。このホテルでは、独身者たちが一定期間内にパートナーを見つけなければならず、見つけられない場合は動物に変えられてしまうという極端なルールがあります。さらに、独身でいることが不自由であると感じさせ、パートナーシップを促すために、さまざまな強制的な措置が取られています。

手錠で繋がれるという罰は、ホテル側が独身者に対して「一人でいることの不便さ」を実感させるためのものです。独身者がパートナーを持たないことでどれほど不自由か、孤独であることがどれほど「不自然」であるかを示すため、手錠を用いて物理的に制限を加えるのです。これは、映画のディストピア的な社会における極端な強制力を象徴しており、パートナーを持つことが社会的にどれほど重要視されているかを視覚的に表現しています。

デイビッドが手錠をかけられることにより、彼がこの世界でどれほどの圧力を感じているか、そして個人の自由が制限されているかが強調されています。この手錠は、独身者にとっての「罰」として機能する一方で、社会の中で恋愛や結婚がどれほど強制されているかを風刺するためのシンボルでもあります。つまり、パートナーを持たないことは不自由であり、誰かと結ばれることが社会的な義務であるというメッセージが込められているのです。

この手錠のシーンは、デイビッドが個人の自由を奪われている状況を象徴するものであり、彼がシステムの中でどれほど無力であるかを観客に示す重要なシーンです。また、手錠で繋がれるという行為自体が、映画全体を通じて描かれる「愛や関係に対する社会的な強制力」を象徴しているとも言えます。

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